「中年フリーター」のあまりにも残酷な現実 就職氷河期世代が今、割を食わされている

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さまざまな職場を転々としたAさん、今はネットオークションで生活する(撮影:加藤順子)

結局、阪神大震災の翌年である1996年から約10年間で、派遣や契約社員、嘱託などの非正規待遇で10社ほど渡り歩いた。時給はだいたい900~1200円だった。

さらにAさんを苦しめたのが2006年のライブドアショック。少ない資産を少しでも増やそうと株式投資をしていたが、裏目に出てしまった。これを機に残った株をすべて処分。現在は前述のようにネットオークションで生計を立てるようになった。

「地元で面接受けられる会社はすべて行ってしまっていたので、事実上、就職できなくなった。車の免許を持っていないので、遠くに行くこともできない」

人手不足でも正社員の求人は少ない

オークションの1カ月の利益は「生活保護費の少し上くらい」と多くはない。母親と2人で住む公営住宅の家賃が安いから何とか成り立っているのだ。「今怖いのは、親が急に死ぬこと。公営住宅では配偶者であればそのまま住めますが、子どもが単身になると生活保護受給者や障害者以外は退去を求められる。もしそうなった場合は貯金をすべてはたいて、安い住宅でも買わないとやっていけなくなるかもしれない」

足元では景気回復に伴って人手不足が叫ばれている。それに合わせて大きく期待されているのが非正規の正社員化だ。確かに8月の有効求人倍率(季節調整済み)は1.23倍と23年ぶりの高い水準だ。

ただし正社員に限ってみると有効求人倍率は0.76倍と1倍を下回る。回復傾向にあるとはいえ、求人数が求職者数より少ない状況はいまだ変わらない。ずっと非正規で専門的なスキルも経験もない人になれば、なおさらハードルが高くなる。

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