新「サンダーバード」が代わり映えしない理由 車両デザインに透ける、JR西日本の北陸戦略
車両は新車ではなく、既存のものを改造した。一部の窓を通常よりも大きくして、窓枠に額縁のような意匠を施した。「車窓の風景を一枚の絵画のように楽しめる効果がある」と、JR西日本・金沢支社の川村聡営業課長は言う。
海側の座席を窓向きに配置し、地元・南砺市の伝統工芸・井波彫刻のレリーフを飾った。さらに、富山湾で捕れた魚を車内ですし職人が握るサービスもある。観光列車ならではの趣向が満載だ。
「べるもんた」の車両に秘められた狙い
ところが、車内の一角に、通勤車両のような優先座席と吊り革がぶらさがっているスペースがある。「基本的には観光列車として運行するが、車両運用の関係上、年に数回、普通列車として運用する可能性がある」(JR西日本)。
べるもんたは全席指定だが、この通勤車両風の座席は販売しない。普通列車として運行する日にうまく遭遇できれば、指定席料金なしに乗車することができるわけだ。
北陸新幹線が金沢まで延伸したことにより、在来線の平行区間がJR西日本から切り離され、第三セクター化された。一方で、城端線と氷見線はJRのままだ。
ほかのJR在来線とつながらない両線は、JR西日本にとって扱いにくい路線のはず。将来の廃止対象となってもおかしくない。普通列車としての運用にも気を配る観光列車の導入は「北陸エリアの鉄道ネットワークを当面は維持する」という決意の表れともいえる。
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