新「サンダーバード」が代わり映えしない理由 車両デザインに透ける、JR西日本の北陸戦略

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べるもんたの車内には井波彫刻のレリーフが飾られている(撮影:尾形文繁)

車両は新車ではなく、既存のものを改造した。一部の窓を通常よりも大きくして、窓枠に額縁のような意匠を施した。「車窓の風景を一枚の絵画のように楽しめる効果がある」と、JR西日本・金沢支社の川村聡営業課長は言う。

海側の座席を窓向きに配置し、地元・南砺市の伝統工芸・井波彫刻のレリーフを飾った。さらに、富山湾で捕れた魚を車内ですし職人が握るサービスもある。観光列車ならではの趣向が満載だ。

「べるもんた」の車両に秘められた狙い

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べるもんたには、吊り革のついたスペースがある(撮影:尾形文繁)

ところが、車内の一角に、通勤車両のような優先座席と吊り革がぶらさがっているスペースがある。「基本的には観光列車として運行するが、車両運用の関係上、年に数回、普通列車として運用する可能性がある」(JR西日本)。

べるもんたは全席指定だが、この通勤車両風の座席は販売しない。普通列車として運行する日にうまく遭遇できれば、指定席料金なしに乗車することができるわけだ。

北陸新幹線が金沢まで延伸したことにより、在来線の平行区間がJR西日本から切り離され、第三セクター化された。一方で、城端線と氷見線はJRのままだ。

ほかのJR在来線とつながらない両線は、JR西日本にとって扱いにくい路線のはず。将来の廃止対象となってもおかしくない。普通列車としての運用にも気を配る観光列車の導入は「北陸エリアの鉄道ネットワークを当面は維持する」という決意の表れともいえる。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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