2つのアプリを同時に使いやすい形状は“やや横広”。ファーウェイ「Pura X」が切り開く折りたたみスマホの実用性

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本体を閉じると3型の外画面が使える(筆者撮影)

アップルも模倣すべき使いやすい画面サイズ

Pura Xを実際に使ってみてその使いやすさに筆者は感銘を受けた。しかし多くの人はPura Xの形状を見て「この形、使いやすいのだろうか?」と思われるだろう。実は筆者も実物を触る前までは同じ考えだった。だがスマートフォンの過去の歴史を振り返れば、本体サイズが大きく変わった新製品より、今まで慣れ親しんでいたサイズが一番最適だと誰もが考えてしまう。

たとえば2014年に「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」が出てきたとき、市場では大きくなりすぎた、使いにくい、という声が多く聞かれた。それより遡る2011年にサムスン電子が5.3型画面の「Galaxy Note」を出すと、「こんな大きなスマホ、誰も使わない」とまで揶揄されたほどだ。ちなみに当時の「iPhone 4」の画面サイズは3.5型だった。しかし気が付けば今やどのスマートフォンも当時のモデルより大型化しており、誰もがそれを違和感なく使っている。

Pura Xを使ってみてやや弱点だと感じたのは、開いたときの縦方向の表示が若干狭いところだ。しかし2つのアプリを見やすく使える利便性がその気になる点を打ち消してくれた。また折りたたみスマートフォンは「開いたり閉じたりするのが面倒」という声も聞かれるが、Pura Xは開いたままでも大きすぎることはなく、閉じることなく持ち運び、使うことも十分可能だ。

非公式情報ながら、Pura Xは発売から1カ月で22万台を売り上げたという。ファーウェイのみならず全メーカーのスマートフォンの中でも全く新しい形状のモデルであり、前評判もなく突然のように発売された製品としてはまずまずの売り上げと言えるのではないだろうか。筆者が実際に中国・深センのファーウェイストアを訪問してみると、平日でもPura Xの展示コーナーには常に人が集まっていた。

中国ではPura Xに注目が集まっている(筆者撮影)

アップルは2026年にも折りたたみスマートフォンを出すと言われている。だが現状のフォールドタイプ、フリップタイプはどちらも一長一短があり、アップルの製品ラインナップに加えるには中途半端な存在にも感じられる。Pura Xのような思い切った形状の折りたたみモデルこそ、アップルが出すべき製品ではないだろうか。そして今後、他のメーカーからも「第3の折りたたみスタイル」として、Pura Xに追従するモデルが出てくるかもしれない。

山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト

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やまね やすひろ / Yasuhiro Yamane

香港在住。石油化学企業の製造・研究・国際貿易業務を経てからフリーのジャーナリストに転身。中国および海外のスマートフォンや通信事情に精通。取材範囲は自動車、スマートシティー、インダストリー4.0、リテール、デザイン、材料まで幅広い。年の大半を海外市場の市場調査および海外展示会・発表会取材に当てており、脚で稼いだ情報を武器とする。大手IT系メディアに定期的に記事を執筆するほか、海外通信事情などの講演も積極的に行う。

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