日経平均「7万円」到達も決して夢物語ではない? 2000年代のドイツの事例から考える。日本企業にも前例あり

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世界の株式市場の過去30年間の年間の平均上昇率が8%程度ですので、1株当たり利益が9%ずつ増加して、その分だけ株価が上昇するという、このシナリオは、決して荒唐無稽な数字ではありません。

むしろ私たちは30年間のデフレを過ごしているうちに、大事なことをひとつ忘れていました。それは、インフレで企業の売上は拡大し、それに伴って利益も拡大するという点です。

JR東日本の値上げの歴史

なぜインフレで企業業績は増加するのでしょうか? 身近な事例としてJR東日本を取り上げてみましょう。

JR東日本は2024年12月に値上げを発表しました。値上げ率は7%で、26年3月から実施予定とのことです。値上げが実施されると、どのようなことが起こるでしょうか?

値上げが行われても、おそらくJR東日本の利用者数は変わらないでしょう。なぜなら、首都圏の住民は世界最大の鉄道利用者だからです。世界最高峰の「乗り鉄」ともいえます。

世界の駅別の乗降客数を見てみましょう。1位から3位は日本が誇る不動のトップスリーで、順に新宿、渋谷、池袋です。4位が梅田(大阪)で、そのあと横浜、北千住、東京、名古屋と続き、9位にようやくインドのハオラ駅が登場します。そして10位は品川です。トップ10に海外の駅は1つだけで、JR東日本の駅が上位7駅を独占しているわけです。

JR東日本圏内の住民は車やバスなどの移動手段をあまり使わず、私鉄や東京メトロでの代替も限定的だと考えられます。値上げで利用者数が減らないのであれば、値上げ分の多くがそのまま利益として残ります。

JR東日本の売上は2.8兆円程度です。会社の2024年3期の営業利益計画は3700億円です。JR東日本は駅ビルなどの鉄道以外の事業もありますので、JR東日本が7%の値上げを行ったときのインパクトは、900億円程度の増益効果といわれています。25%近い利益押上げ効果になるわけです。値上げ=増益効果が大きいことがご理解いただけるでしょう。 

インフレを忘れてしまっているという人も多いと思います。その観点からJR東日本の値上げの歴史を見てみましょう。

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