
「有名無名を問わず、タイ市場には中国のEV(電気自動車)メーカーが勢揃いしている」。タイに駐在する中国の自動車メーカーのある社員は、財新記者の取材にそう苦笑いを浮かべた。
タイの自動車市場では、ここ数年のEVブームを中国メーカーが牽引している。3月26日に開幕したバンコク国際モーターショーでは、出展した41社の自動車メーカーのうち4割近い16社が中国勢だった。
市場調査会社のオートライフ・タイランドのデータによれば、タイ市場における2024年のEV販売台数は約7万台。メーカー別のEV販売台数ランキングでは上位10社のうち7社を中国メーカーが占め、合計8割を超える市場シェアを獲得した。
日本メーカーにプレッシャー
中国のEVメーカーの相次ぐ進出は、それまで日本車が事実上独占していたタイ自動車市場の構図を塗りかえつつある。
「われわれは電動化とスマート化という新技術をタイ市場に持ち込み、(エンジン車が主力の)日本メーカーにプレッシャーを与えている」。中国のEV最大手、BYD(比亜迪)でタイ事業に携わる社員は、財新記者の取材に対してそう述べ、次のように予想した。
「中国メーカーのEVは価格に値ごろ感がある。タイの消費者が抱いている『EVはエンジン車より割高』というイメージは、すぐに過去のものになるだろう」
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