企業や起業家と連携、興味を探究してキャリアにつなげる「通信制サポート校」ができた訳 HR高等学院「社会との接続」で課題解決力を育成

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文部科学省の「令和6年度学校基本調査」によると、2024年度の通信制高校の生徒数は29万87人、通信制高校の数も303校(公立校79校、私立校224校)と過去最多を更新した。こうした中、通信制高校に通う生徒が3年間で卒業できるよう学習面や生活面を支援する「通信制サポート校」も注目され、数を増やし続けている。2025年4月に開校した「HR高等学院」もその1つだ。同校を設立したRePlayce代表取締役の山本将裕氏と、特別顧問を務める東京学芸大学教育インキュベーションセンター長の金子嘉宏氏に、設立の狙いや提供する支援について聞いた。

「キャリア探究サービス」の企業が参入したワケ

通信制高校に通う生徒が約11人に1人と年々増加する中、注目されているのが「通信制サポート校(以下、サポート校)」だ。自己管理能力が求められ、モチベーションの維持が難しい通信制高校の生徒たちが無事に卒業できるよう、学習面や生活面での支援を行う民間の教育施設である。

学校教育法で認可されていないので高校卒業資格を取得できるわけではなく、あくまで「学習等支援施設」であると2022年度の法令改正で位置付けられたが、その数は増え続けている。文科省によると、約1800カ所あり、約4万3000人(2024年5月現在)が通っているという。

こうした中、2025年4月に開校したサポート校の1つが、「HR高等学院」だ。RePlayce代表取締役の山本将裕氏とエンジェル投資家の成田修造氏が共同設立した。

山本将裕(やまもと・まさひろ)
HR高等学院共同設立者/CEO
2010年にNTT東日本に入社。2020年にNTTドコモに入社し、「ドコモアカデミー」を立ち上げ学長に就任。2022年「はたらく部」を立ち上げ、2023年経済産業省「第13回キャリア教育アワード」の優秀賞を受賞。2024年4月、NTTドコモから事業をスピンアウトしRePlayceを設立。2025年4月、通信制サポート校「HR高等学院」を開校

山本氏は、NTTドコモの社内新規事業創出プログラムを通じて、オンラインキャリア探究サービス「はたらく部」を立ち上げた人物だ。同サービスは、中高生が放課後に社会人コーチや仲間と「社会と自分」について考えを深め、キャリアについて学べるというもの。山本氏は2024年にこの事業をスピンアウトし、RePlayceを設立して運営を続けているが、なぜサポート校にも参入したのだろうか。

「はたらく部では中高生に向けて100種類以上のワークショップを展開していますが、学校に採用いただくケースも増える中でもっと子どもたちの学びに深く関わりたいと考えていたところ、サポート校の仕組みを知りました。これからの時代、自分の選択や望むキャリアに勇気を持って一歩踏み出せる人が求められていると思いますので、そんな子を1人でも増やしたいと考えたのが出発点となっています。通信制高校の設立という選択肢もありますが、時代が求めるオルタナティブなスクールを目指しているので一条校である必要がなく、民間人が民間で学びの機会をつくることができるサポート校を選びました。スタートアップとして事業スケールをしていくうえでも最適な選択だと考えています」(山本氏)

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