企業や起業家と連携、興味を探究してキャリアにつなげる「通信制サポート校」ができた訳 HR高等学院「社会との接続」で課題解決力を育成
進学校と呼ばれる高校から転入してきた大井湧瑛さんは、こう語る。
「中学までは自由な校風だったので、高校での教科書通りの授業に不満を感じていました。HR高等学院は我慢せず楽しさを爆発させられそうな環境が自分に合っていると感じ、転入を決意しました。地元で起業を考えているので、起業家の成田修造さんのビジネスの授業にはとくに期待しています。眠れないほどワクワクしています」(大井さん)
周東さんも大井さんも、週5日通学して学ぶ形を選んでいる。
文部科学省の学校基本調査によると、2022年度の通信制高校の卒業生の進路未決定者は31.5%に及んでおり、キャリア支援の必要性がうかがえる。HR高等学院では、就職・起業、大学進学、海外進学で、それぞれ手厚いサポートを実施予定だという。
「例えば、はたらく部に通う生徒たちが大学の総合型選抜に合格した実績があるため、そこで培ったノウハウは提供できる体制にあります。海外進学ではシドニーやマンチェスターなど71の海外の大学の推薦枠制度を獲得。ビジネス英語習得に定評のあるプログリットとも提携しているため、海外で通用する英語力を育成する環境も整っています」(山本氏)
就職に関しても高校生の就職・採用支援サービスを行う「ジンジブ」と提携し、1人1社制にとらわれず生徒が進みたい道にアプローチできるようにしていくそうだ。「重要なのは自己決定できること。そのための選択肢を用意しています」と山本氏は強調する。
「今の学校の枠にはまらない子や、興味・好奇心・野望を持った子にはぜひ来てほしい。どんな子にも心に秘める思いや自走できるポテンシャルがあり、それを信じる大人がいることで開花すると考えています。だからこそ1人ひとりの成長に本気で向き合う学校を作っていきたいと思っています」(山本氏)
この春、ベネッセ高等学院やNTTe-Sports高等学院、LITALICO高等学院などのサポート校も開校した。現状の学びが合わない子どもたちにとって、サポート校が多様化・充実し、個性を伸ばすチャンスが増えたことは喜ばしい。一方、以前から通信制高校は教育の質の確保に課題があり、都道府県がサポート校の実態を把握しにくいといった問題も指摘されてきた。サポート校は今後も個々のニーズに応える支援施設として存在感を増していくことが予想されるが、参入が相次ぐ中で、その質や真価がさらに問われることになるだろう。
(文:酒井明子、編集部 佐藤ちひろ、写真:HR高等学院提供)
東洋経済education × ICT編集部
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