強気の王者ファナック、相次ぐ国内増産の勝算

拡大
縮小

NC装置とは、工作機械の駆動に必要な数値制御装置で心臓部に当たる。ファナックは1950年代に日本で初めて実用化。世界シェア過半を握る主力事業に育て上げた。

だが、ロボドリルの大量生産に踏み切ることで、工作機械各社との関係は「NC装置の得意客」から「小型機分野での競合」という構図がより鮮明になる。価格面では、NC装置を内製化するファナックが圧倒的優位に立つことになり、実際、ある中堅大手は、「今後はメルダス(三菱電機製のNC装置)に乗り換える可能性もある」(首脳)と打ち明ける。

産業用ロボットの増産にも疑問符が付く。同業で世界シェア首位を争う安川電機の月産能力は2650台。現在でも市場に逼迫感はなく、「月産5000台もの需要がどこにあるのか」(大手幹部)と首をかしげる向きは少なくない。

1兆円の野望達成に向けた道のりは簡単ではない。

ファナックの業績予想、会社概要はこちら

[+画面クリックで詳細チャートを表示 <会員登録(無料)が必要です>]


(小河眞与 =週刊東洋経済2012年3月3日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT