強気の王者ファナック、相次ぐ国内増産の勝算
工作機械業界の巨人・ファナックが強気の大増産に打って出る。
年内に茨城県筑西市の拠点に新工場を建設。スマートフォン製造用に需要が急増している小型マシニングセンタ「ロボドリル」の生産能力を、現在の月産2500台から5000台に引き上げる。同拠点では、2011年にも新工場を建設したばかり。相次ぐ増強で、生産能力は、約2年間で3倍以上に膨れ上がる。
昨年12月には、山梨県忍野村の本社敷地でも産業用ロボットの新工場が稼働。こちらも月産5000台に能力倍増した。
同社の工場は徹底した省人化が特徴だ。自社製ロボットを昼夜連続で動かして部品を加工。作れば作るほど、固定費比率が下がり、収益性が高まる仕組みで、売上高営業利益率は実に40%を超える。国内生産に特化し円高は逆風だが、12年3月期は過去最高益を更新する見通しだ。
今年初めには、実質創業者の稲葉清右衛門名誉会長(86)が経営・研究本部長に就任。息子の善治社長(63)がセールス本部を統括すると内外に公表した。新体制によって、「2年間で、売上高を(現在の倍の)1兆円に拡大する」と目標を掲げる。
ただ、前途は順風満帆というわけではない。懸念材料の一つが主力製品・NC装置の納入先である工作機械メーカーとの関係の変化だ。