イット!はフジテレビによる「さよならテレビ」か 罪の重さを「系列同士」で吐き出しあっている
「フジテレビの反省」はシリーズ企画で、さまざまな切り口で「反省」の題材を見つけては放送しているようだ。私がコメント取材を受けたのは2回目で、1回目は2月17日の放送。番組審議委員会で出た、一連の問題についての意見を紹介した。
私はこの日の放送は見逃したが、放送内容を書き起こしたテキスト記事を読むことができる。委員たちから「時代錯誤」「視聴者に対する裏切り」などの厳しい意見が出ていたことがわかる。
「反省」の3回目は2月24日に放送された。イギリスBBCで名物司会者ジミー・サビル氏が性加害を起こしていたことが彼の没後に判明し、BBCがどう対処したかを紹介した。この件は「ジャニー喜多川氏性加害問題」とも似ておりそのときもいくつかのテレビ局が取り上げた。
ここではBBC元幹部マーカス・ライダー氏にどう対処したかを聞いていた。世界の放送局の模範とされるBBCでも似た事件が起こったことは衝撃だが、マーカス氏が「失われた信頼を取り戻すには時間がかかる」と述べたのが印象に残る。
そして3月5日に放送された4回目は「反省」シリーズとしてもっとも斬り込んだ企画だった。FNN系列への影響を取り上げたのだ。前半では「イット!」の青井実キャスターが福島テレビを訪問。同局鈴木延弘取締役がCMについて「22社からキャンセルが出た」と生々しく今回の問題の影響を述べた。
「イメージダウン」「FNN崩壊の始まり」
そして後半では系列の報道部門のネットワーク会議をカメラが写した。そこで系列局から出た言葉の数々がすごい。
「イメージダウン」「FNN崩壊の始まり」「(17日の会見について)FNNの信頼度が失われた瞬間」「報道機関の自殺」「報道軽視、ローカル軽視」遠慮会釈なく、痛烈な批判が飛び交っていた。決して声を荒らげるわけではなく、冷静にこうした強い言葉を述べるのがかえって厳しさを醸し出した。
1月17日の会見にカメラを入れられなかったことに、報道局の渡辺奈都子局長が「クローズの会見と事前に知り、自分だけでなく進言したが覆らなかった。それでも覆さなければいけなかった」と系列局の面々に頭を下げた。キー局の幹部が系列局の会議で謝罪する場面は初めて見た。批判する側も、謝罪する側も、忸怩たる思いは同じだろう。それにしてもこんな「内側」の映像を放送するとは驚いた。
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