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日本の慢性デフレ、賃上げ値上げの"自粛"ノルム 『物価を考える』など書評3点

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『物価を考える デフレの謎、インフレの謎』

・『景気はなぜ実感しにくいのか』

・『幸福への道』

『物価を考える デフレの謎、インフレの謎』渡辺 努 著
『物価を考える デフレの謎、インフレの謎』渡辺 努 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔

物価研究の第一人者による力作。インフレやデフレの何がよくて、何が悪いのか。なぜデフレが続き、なぜインフレが始まったのか。異次元緩和はなぜ失敗に終わったのか──。

これらは筆者のような金融市場で経済・金融分析を生業(なりわい)とする者でも「わかっていそうでわかっていなかった部分」が小さくない論点である。本書は最先端の研究などを紹介しつつ、「わかっていなかった部分」を掘り出し、丁寧に解きほぐしてくれる。

日本に慢性デフレをもたらした賃上げ値上げの“自粛”ノルム

30年間続いた価格・賃金据え置きの背景としてノルム(暗黙のルール)が作用したことは、当の日本銀行からも頻繁に説明されるところだ。本書はこれを、新型コロナウイルスの感染発生時に日本が展開した自発的ロックダウンとも言える防疫措置と慢性デフレを重ね合わせて解説する。

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