「デジタル技術革新」を方向転換するための議論 『技術革新と不平等の1000年史』など書評3点

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『技術革新と不平等の1000年史』

・『財政規律とマクロ経済 規律の棚上げと遵守の対立をこえて』

・『デジタル社会の罠 生成AIは日本をどう変えるか』

『技術革新と不平等の1000年史』ダロン・アセモグル、サイモン・ジョンソン 著
『技術革新と不平等の1000年史』ダロン・アセモグル、サイモン・ジョンソン 著/鬼澤 忍、塩原通緒 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・東京大学大学院教授 岡崎哲二

本書は1000年にわたる歴史を視野に技術革新と所得分配の関係を考察し、現在進行中のデジタル技術革新の方向と問題点、およびそれを望ましい方向に転換するための施策を論じている。

ピケティの議論とも密接に関係 技術発展の方向に警鐘を鳴らす

著者らの議論は明快である。第1に、技術革新の方向には、大多数の人々に豊かさを均霑(きんてん)するものと、少数者に成果が集中し大多数の人々にはより大きな苦痛を与えるものの2つがある。前者は多くの人々の労働の限界生産性(労働投入のわずかな増加によって生じる産出の増加分)を引き上げ多くの新しい仕事を創り出すが、後者は単に技術や機械で人々の労働を置き換える。

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