[Book Review 今週のラインナップ]
・『THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』
・『泣く男 古典に見る「男泣き」の系譜』
・『はたらく物語 マンガ・アニメ・映画から「仕事」を考える8章』
・『ダーウィンの呪い』
評者・慶応大学教授 坂井豊貴
ヘンリー・フォードが自動車会社を創業した当時、自動車は庶民には手が届かない高級品だった。生産費用がかかりすぎるのだ。どうすれば生産費用を下げられるか。フォードはこの課題を、次の3つのサブ課題に分解して考えた。
試行錯誤に頼らず成功に学べ 大きな課題を解決するための思考
・サブ課題1:人件費を下げるには?
・サブ課題2:製造時間を短縮するには?
・サブ課題3:原材料費を減らすには?
まずはサブ課題1について。フォードは産業革命期に生まれた「組み立てライン」の方式に着目した。工場の製造現場で部品を一列のライン上に並べて、作業員が横に移動しながら部品を次々と取り付けていくのだ。
次はサブ課題2。フォード社の主任エンジニア、ウィリアム・クランは、組み立てラインの改善案を考えた。それは作業員が動くのではなく、組み立て中の自動車が動く方式だ。組み立て中の自動車はベルトコンベヤーに載せられて工場内を移動し、各作業員は自分が担当する部品を取り付けていくのだ。この新方式は劇的な効果を上げた。1台の組み立てにかかる時間は12時間半から90分に短縮された。
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