大きな課題解決は、試行錯誤に頼らず成功に学べ 『THINK BIGGER』など書評4冊

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』

・『泣く男 古典に見る「男泣き」の系譜』

・『はたらく物語 マンガ・アニメ・映画から「仕事」を考える8章』

・『ダーウィンの呪い』

『THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』シーナ・アイエンガー 著
『THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』シーナ・アイエンガー 著/櫻井祐子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・慶応大学教授 坂井豊貴

ヘンリー・フォードが自動車会社を創業した当時、自動車は庶民には手が届かない高級品だった。生産費用がかかりすぎるのだ。どうすれば生産費用を下げられるか。フォードはこの課題を、次の3つのサブ課題に分解して考えた。

試行錯誤に頼らず成功に学べ 大きな課題を解決するための思考

・サブ課題1:人件費を下げるには?

・サブ課題2:製造時間を短縮するには?

・サブ課題3:原材料費を減らすには?

まずはサブ課題1について。フォードは産業革命期に生まれた「組み立てライン」の方式に着目した。工場の製造現場で部品を一列のライン上に並べて、作業員が横に移動しながら部品を次々と取り付けていくのだ。

次はサブ課題2。フォード社の主任エンジニア、ウィリアム・クランは、組み立てラインの改善案を考えた。それは作業員が動くのではなく、組み立て中の自動車が動く方式だ。組み立て中の自動車はベルトコンベヤーに載せられて工場内を移動し、各作業員は自分が担当する部品を取り付けていくのだ。この新方式は劇的な効果を上げた。1台の組み立てにかかる時間は12時間半から90分に短縮された。

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