糖質制限はNG!素人が間違えがちな高血糖対策 医師に聞く「血糖値急上昇を防ぐ」食事のポイント
血糖値の変動に大きく影響するのが、すい臓から分泌されるホルモンの一種、「インスリン」です。血糖値が高くなると、すい臓からインスリンが分泌されます。同時に脳からも副交感神経を通じてインスリンの分泌を増加させます。
インスリンの働きは3つあり、1つ目が“細胞に糖を届ける働き”です。血糖値が高くなるとインスリンは、血糖(血液中のブドウ糖)を体中の細胞(筋肉や脂肪の細胞など)に取り込ませるように働きかけます。そして細胞がブドウ糖を受け取ると、それをエネルギーとして使うことができます。このエネルギーによって、体を動かしたり、体温を保ったり、脳を働かせたりすることができるわけです。
2つ目は“肝臓や筋肉に糖を蓄える働き”です。インスリンは、肝臓や筋肉の細胞に働きかけ、ブドウ糖を「グリコーゲン」という形に変えて蓄えるようにします。グリコーゲンは、必要なときにエネルギーとして再びブドウ糖に戻されて使われます。例えば、食事をしていない時間帯や寝ている間など、体がエネルギーを欲しがるときに役立ちます。
3つ目が“脂肪の生成を助ける働き”です。体に十分なエネルギーがあると、インスリンは余分なブドウ糖を中性脂肪として蓄えるように指示を出します。これにより、血糖値が下がります。
このように、血糖値を下げる働きをするのは、インスリンだけです。
高血糖でやせるのはエネルギー不足の緊急事態
血糖値を下げて細胞にエネルギーを与えるきっかけとなるインスリンの働きはとても重要なものです。しかし、何らかの原因でインスリンの分泌が減ったり、細胞側のインスリンの感受性が悪くなったりするとどうでしょう?
エネルギー不足になって疲労感が増し、体重が減ってきます。糖尿病というと“太っている人の病気”と思われる人も少なくないようですが、糖尿病が進行すると体重の減少がみられるようになります。だから、理由なくやせてきたという人は注意しなくてはいけません。
インスリンが十分に分泌されなかったり、効きが悪くなったりしているときに、糖質を極端に減らした食事をするとインスリンがさらに出なくなって、細胞のエネルギー不足がさらに深刻に。本当に危険な状態になりかねません。
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