「AIを使う人の批判的思考能力が低下している」 マイクロソフトが調査論文を発表

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その手がかりはリポート自体にある。頭脳労働者がどのようにAIを使うのか、その際に脳はどう作用するのかを知らない限り、「労働者が現実に必要としている問題に対応していない」プロダクトを作り上げるリスクがあると、執筆者は指摘している。マイクロソフトのAIツールを使うセールスマネジャーの思考能力が低下すれば、仕事の質も低下しかねない。

ダブルチェックしなくなる

マイクロソフトの研究で興味深いのは、AIツールに対するユーザーの信頼感が高いと、それだけユーザーは生成された結果をダブルチェックしなくなる点だ。AIには今も「ハルシネート(幻覚)」の傾向があり、仕事の質が劣るリスクがある。パフォーマンスの劣化に気づき始めた雇用主は、それを労働者のせいにするかもしれないし、AIのせいにするかもしれない。そうなればマイクロソフトには不利益が及ぶ。

テクノロジー企業は声を大にして、AIは人類の知性を「補う」ツールであり、知性に取って代わるのではないと吹聴してきた。そのことは今回の調査にも示唆されている。従ってマイクロソフトが得るべき教訓は、将来のプロダクトをいかに目指すかにある。より強力なものにすることではない。人類の能力を低下させるのではなく、向上させるような設計を目指すことだ。チャットGPTや同類のプロダクトが、時折ユーザーに自分で考えるよう促すこともあり得るかもしれない。さもなければ雇用主は少ない労働力で多くを成し遂げることができたとしても、何かが間違った方向に進んでもそれに気づかない労働者を抱えてしまうことになりかねない。

(パーミー・オルソン氏はブルームバーグ・オピニオンのテクノロジー担当コラムニストです。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)やフォーブスで記者経験があり、著書には「我々はアノニマス」など。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

著者:Parmy Olson

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