X、ダイソン、ルンバを成功に導いた"ある共通点" 必要だとわかっていても難しい「独自性」の作り方

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L2では、具体的なアイデアに対する新常識を公式で記述できるようになる必要がある。いくつかイノベーティブな商品やサービスを例に挙げるので練習してみよう。

ダイソンとXの新常識とは

ひとつめはダイソンの扇風機だ。公式に従ってA(常識)→B(新常識)で記述してみてほしい。対義語で記述することを忘れずに。答えは、

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羽根あり→羽根なし

次のような記述の仕方もあり、短い単語で、記述しやすいほうを選択すればよい。

羽根(着眼点):あり(常識)→なし(新常識)

続いてはジャンルを替えて、SNSにしよう。X(旧Twitter)の新常識を記述してみてほしい。今では当たり前のサービスだが、リリース当時はどのような新常識があっただろうか。ヒントは、当時はFacebookやmixiが主流であった、だ。答えは、

投稿コンテンツ:大→小

もう少し具体性を持たせて、

文字数:多→少

としたほうが分かりやすいかもしれない。

Xの特徴のひとつは、投稿の文字数が140文字に制限されていることだ。これはイノベーションと呼ぶに相応しい新常識だったのだが、理解できるだろうか。当時は、ブロードバンド普及の真っ只中であった。それに伴い、テキストだけでなく画像も投稿対象となった。この流れは加速すると誰もが考え、テキスト→画像→動画と進んでいくのは必然だと思われていた。公式で表現すると、プアコンテンツ→リッチコンテンツというトレンドとなる。

このトレンドに対してXは、140文字という制限を行なった。にもかかわらず、現在の一日のアクティブユーザは2.5億人(2024年3月18日現在)。当時のトレンドと真逆の投稿スタイルを提示し、巨大SNSプラットフォームとなった。まさに着眼点で勝負が決まった事例である。このように、新常識は従来の常識の反対側にあるものだが、それが出た後には「当たり前」に思われているものである。だからこそ新「常識」なのだ。

今井 裕平 ビジネスデザイナー

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いまい ゆうへい / Yuhei Imai

神戸大学大学院を修了後、安井建築設計事務所、日本IBM、電通コンサルティングを経て、2016年に株式会社kenma創業。企業の見過ごされた強みを発掘して、その会社の看板商品・サービスを創り出す「フラッグシップデザイン」を提唱 。メモがわりに使えるリストバンド「wemo」は100万本を超える大ヒットを記録。その他、コクヨ初の賃貸住宅事業「THE CAMPUS FLATS Togoshi」、吸水スポンジタオル「STTA」、伊勢茶ボトルレンタルサービス「朝ボトル」など、数字で成果を示すことにこだわり、これまでにないユニークな商品・サービスを仕掛ける。グッドデザイン賞をはじめ、IAUD国際デザイン賞、フェーズフリーアワードなど社会課題解決を対象としたデザイン賞を多数受賞。東京都「デザイン経営スクール」総合監修・講師。
2024年「ヒット商品を次々と生み出すデザイン会社」として、テレビ東京『カンブリア宮殿』に出演(ビジネスデザイナーとしては初出演)。2025年、初めての著書『すごいアイデア』(祥伝社)を出版。

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