フロリダ大勝でロムニー優勢も、なお長期戦の公算【米大統領選・専門家の見方】

ロムニー候補は本選挙に向けた脆弱さへの対処が課題

ネガティブな選挙戦のトーンには、無党派層の共和党離れを進める危険性が存在する。実際に、フロリダ州におけるギングリッチ候補へのネガティブ・キャンペーンは、ロムニー候補の好感度低下につながっている模様。

ロムニー候補としては、党内の争いよりもオバマ大統領との対比に力点を置き、政策面での議論を全面に出すような方向転換が急がれるところだが、ギングリッチ候補は過去にも失速から復活した経験があり、ネガティブ・キャンペーンの手を弱めることにはリスクが伴うのも事実だ。

サウスカロライナ州での敗北の一因とされる投資会社ベイン・キャピタル時代の経験を含む「金持ち批判」についても、必ずしも本選挙に向けた有効な対応策を編み出したとはいえないのが現実。フロリダ州に限っていえば、そもそも共和党内では「金持ち批判」が浸透しにくい中で、ギングリッチ候補批判に議論を集中することで切り抜けた格好。

不法移民に対するロムニー候補の強硬姿勢が、ヒスパニック票に与える影響にも注目が集まっている。フロリダではヒスパニックの支持を得ることに成功したが、移民問題とは関係の薄いキューバやプエルトリコ系のヒスパニックが多かったという特殊要因を差し引いて考える必要がある。

そもそも、ここまでのロムニー候補の選挙運動は、ビジネスマンとしての同候補の経歴・能力とオバマ大統領批判が中核となっており、同候補独自の政策はあいまいなまま。「右より」の政策にコミットすることで本選挙や当選後の政策運営に支障を来たすリスクは避けられているが、ベイン・キャピタルがらみで過去の経歴がプラスに働かない可能性が浮上している中では、政策面のアピールの弱さが痛手となる展開も想定されよう。

よく言われる「予備選長期化による共和党内の亀裂の深まり」に関しては、保守・穏健の違いにかかわらず、「オバマ大統領の再選を阻むこと」が共和党関係者の最優先課題である点に注意が必要。ロムニー候補にとっては、指名獲得を確実にしさえすれば、「反オバマ」で党をまとめられる素地はあると考えられるが、逆にいえば、指名を確実にするまでは、党内の分裂が緩和するのは難しい状況ともいえる。

(中村 稔 =東洋経済オンライン)
photo:Gage Skidmore CC BY-SA

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