フロリダ大勝でロムニー優勢も、なお長期戦の公算【米大統領選・専門家の見方】

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ロムニー有利に傾斜だが、選挙戦は長期化の様相

ロムニー候補が最終的に指名を決める代議員獲得数で必要な水準に達するのは、早くても4月中旬以降になる見込み。ギングリッチ候補などが自発的に敗北を認めない限り、予備選挙は長期化しそうだ。

情勢がロムニー候補に有利なのは事実。2月の予備選挙はロムニー候補に有利な州が少なくなく、ギングリッチ候補が得意としてきた討論会も2月後半に1回予定されているのみ。資金力・組織力に懸念が残るギングリッチ候補としては、露出機会の少なさが逆風となる見込み。

ギングリッチ候補があくまでも勝利を目指すのであれば、2月の予備選挙を戦い抜き、3月6日のスーパーチューズデーにおいて、少なくとも地盤である南部諸州で好成績を収めることが最低条件となろう。

一方で、「ロムニー候補以外の候補」を求める動きは完全には沈静化していない。フロリダ州の結果でも、「最も保守的」とする投票者層でのロムニー候補の得票率は30%にとどまった。

共和党上層部には、「予備選長期化はオバマ大統領の再選を助けるだけ」との懸念が高まっているが、エスタブリッシュメントによるあからさまな介入は、ロムニー候補に対するティーパーティー(茶会)系などの草の根・保守派の態度をかえって硬化させかねない側面がある。

こうした中で、ギングリッチ候補に限らず、局所的にはサントラム候補やポール候補が善戦する予備選挙が出てくる可能性は排除できない。特に保守派識者の間では、ギングリッチ候補の安定性への疑問が高まる中で、「ロムニー候補以外の候補」としてサントラム候補を再評価する声が聞かれる。独自の支持層を持っているポール候補も、早い段階での離脱は考え難い状況。共和党の指名獲得はあり得ないが、第三政党での出馬といった事態になれば、共和党には致命的。このため共和党指導部は、党大会や党綱領作成などの局面でポール候補を厚遇し、なんとか同候補を懐柔する必要性に迫られる可能性もある。

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