テスラが運行、電池式列車「ギガトレイン」の正体 ベルリン工場の専用線に導入、従業員を輸送

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この工場と、ベルリン―ポーランド間を結ぶドイツ鉄道の路線上にあるエルクナー(Erkner)駅を結ぶのがギガトレインである。テスラは工場開設に合わせ、2022年に本線から分岐して工場付近へ至る約4.8kmの線路を買い取った。

線路は工場の資材搬入にも使われたが、狙いは24時間3交代勤務で稼働する工場の従業員輸送だ。エルクナー駅と工場を結ぶ旅客列車の運行は2023年9月にスタート。当初はディーゼルカーを使用していたが、2024年8月から新型のギガトレインに切り替えた。途中までの電化区間はパンタグラフで架線から集電し、非電化のテスラ専用線内はバッテリーで走行する。

ギガトレイン パンタグラフ
ギガトレインは架線のある区間ではパンタグラフを使用し、非電化区間はバッテリーで走行する(筆者撮影)

実際の運行業務は地元の鉄道会社、ニーダーバルニマー鉄道(NEB)が担う。列車は1日約60本運行し、3交代勤務に対応している。乗車は無料だ。

起点は旧東ベルリンの東端駅

ギガトレインには、旧東ベルリン地区東部の終着駅エルクナーから乗り込むことになる。ここはベルリン全域で有効の一日乗車券エリアの東端で、かつての東ドイツ時代のやや殺伐とした雰囲気も残るが、駅前には大型スーパーなども設けられており、今やベッドタウンのターミナル駅として機能している。

筆者の目を引いたのは、駅の一角に保存してある東ベルリンで使われていた通勤車両の先頭部だった。最新鋭のバッテリートレインと冷戦時代の遺物が同じ駅で見られるというのはなかなかユニークだ。

エルクナー駅 ベルリン Sバーン
「ギガトレイン」の起点、エルクナー駅に保存されている冷戦時代に東ベルリンを走っていた車両先頭部(筆者撮影)
テスラ行き ギガトレイン
「テスラ」の行き先を表示した電光掲示板とギガトレイン(筆者撮影)

テスラ工場へのギガトレインの運行頻度はおよそ40分間隔だ。筆者の実見では、車両は1セットしかなく、これがエルクナーとテスラ工場の専用駅「テスラ南(Tesla Sued)」間を行き来している。工場側に1駅しかないのに、テスラ「南」なのは駅の位置が工場敷地の南端にあるためで、今のところ北駅や東駅などは存在しない。

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