台湾・馬政権は日本からの投資誘致に注力、産業高度化のテコに

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 また、台湾経済をリードするDRAMや発光ダイオード、液晶パネル、太陽光関連の4大産業が、「四大惨業」といわれるほど低迷していることが、最大の不安材料だ。資金繰りの苦しい関連企業も出てきており、さらなる金融不安のおそれもうわさされている。

日本でも台湾企業への関心が高まり、投資や提携を積極化させる動きが見られるものの、台湾経済でのプレゼンスが高い「四大惨業」の改善がうまくいかないと、そんな関心の高まりに冷水をかけかねない。

経済的な対日接近を強める台湾に対し、日本はどうすべきか。台湾との関係をより戦略的に考えるべき時期に来ており、「馬英九=国民党」との付き合いを真剣に考え直すべきだろう。日本にとって台湾は重要な貿易相手であり、同時に日本と最も貿易面で付き合いが深いのが中国だ。政治的、経済的に台湾を考えることは、すなわち中国との関係をも同時に考えることになる。 

 台北で取材中、「なぜ日本が総統選に関心があるのか」と逆に質問されることが多かった。台湾の誰もが親日的で日本への関心が高い、というわけではない。現実を見据え、台湾とどう付き合っていくべきか。日本も、無策に近い対台湾政策の現状から脱却すべき時期に来ている。

(取材協力:台湾『今周刊』 =週刊東洋経済2012年2月4日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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