任天堂が3度目の業績下方修正、年末商戦で3DSにようやく弾みつくが、12年3月期はついに営業赤字転落へ

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 年末商戦では国内を中心に普及フェーズに入ったが、3DSが売れれば売れるほど、ハードのビジネスとしては赤字が膨らむ計算になる。さらに、従来の「ニンテンドーDS」シリーズと同等の価格(シリーズによっては3DSの希望価格の方が安いケースも発現)にそろえたことで、DSの売れ行きがハード、ソフトともに想定よりも鈍化した。DS(ハード)の今期販売計画については、550万台(4月時点では1100万台)と大幅に下方修正している。

家庭用の据置型ゲーム機「Wii」もピークを終え、第二の柱もない状態。北米では競合であるマイクロソフトの「Xbox」が据置型ゲーム機市場を牽引した。任天堂が今年中にWiiの後継機である「Wii U」を発売予定であることも、買い控えにつながったと予想される。

岩田社長は来13年3月期について、「任天堂らしい、まとまった営業黒字の水準を出せるだろう」と言及した。

根拠は大きく3つ。1つは、「来期の早い段階」(岩田社長)で、3DS(ハード)が単体で黒字を出せるようになること。量産効果に加え、仕様は変えないまま設計変更などコストダウンを急いだ成果が出てくるとの見解だ。

2つ目に、継続的なソフトの投入だ。発売当初、ハードを普及させうるだけの大型タイトルがなかったことや、ソフトの投入数が不足したことが、3DSのつまずきの原因となった。「有力ソフトの投入タイミングをあけないことで勢いを維持したい」(同)。オンライン上で追加コンテンツを販売するなど、「デジタルビジネス」の拡大も図る。

最後に、今年の年末商戦を主眼に、「Wii U」を日米欧豪市場で投入することだ。6月に米ロサンゼルスで開催される世界最大のゲームショー「E3」で、「Wii U」の詳細な概要を明らかにする予定。「3DSの苦い反省を生かし、しっかりとシステムを作り、有力ソフトをそろえた上で、万全の体制で臨みたい」と決意を新たにした。

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