2025年の日経平均が最高値を更新する2つの理由 「割り負けていた内需系企業の逆襲」の期待も

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話を日本株に戻すと、筆者が注目するのはインフレの影響を除去“しない”名目GDPである。通常「経済成長率」と言えば、特段の断りがない場合は実質GDPを指すが、名目値である株価を読むうえで重視すべきは名目GDPである。

ここで第一生命経済研究所のGDP成長率の予測値は、2024年度の実質GDP成長率がプラス0.3%にとどまるのに対して、名目GDP成長率はプラス2.9%と高い伸びになると見込んでいる。2025年度は実質GDP成長率がプラス1.1%と潜在成長率を上回る伸びが期待され、名目GDP成長率はプラス2.3%となっている。

名目GDPと株価の相関性は一目瞭然

デフレ下の日本では「実質>名目」という名実逆転が頻繁に起きたが、2022年以降は「名目>実質」の構図、すなわちGDPデフレータのプラス圏推移が明確化している。

日本株が長期停滞に陥った1990年代~2010年代前半までは、デフレによって名目(金額ベース)の経済規模が膨らまなかった。これは名目GDPと企業収益や株価を同じグラフに描くと、一目瞭然である。名目GDPは1992年に500兆円を越した後、1990年代からゼロ成長状態となり、その後は2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災によって500兆円を割れた。

価格決定力を失った企業は数量・シェア確保を優先し、賃金がその犠牲となった。そうした環境で、現役世代の所得は伸び悩み、その裏でインフレに弱い(デフレに強い)高齢世代が価格決定において重要な存在となった。アベノミクス開始以降に名目GDPはようやく拡大に転じたものの、そうしたデフレ下に特有の構図に大きな変化はなく、2021年までは緩慢な伸びにとどまっていた。

しかしながら、そうした構図は2022年に崩壊し、名目GDPは急成長を始める。コロナ禍終息とインフレが相俟って2022~23年は累積7%の急成長となり、水準は2024年4~6月期に600兆円に到達した。500兆円から600兆円の大台突破には結局32年を要したが、550兆円から600兆円に至る「後半の50兆円」は、わずか3年程度で達成されている。

この間、企業は価格転嫁を進め、採算重視の姿勢に舵を切っている。たとえば日銀短観で企業の価格設定行動を確認すると、労働集約的な非製造業の販売価格判断DIはバブル期を凌駕した水準にあり、積極的に値上げに踏み切っている様子がうかがえる。

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