「悩みを新年に持ち越さない」ための"唯一の方法" 悩み事は、悲観する前に"俯瞰目線で"見てみる
答えは、毎月食費とお小遣いでわずか3万円である。
3万円と聞くと「お、意外とあるじゃん」と思うかもしれないが、当時の私はとある会社の営業職であった。ここからふだんの立替交通費(飛行機代なんかあったら一発で大ダメージ)も捻出しながら飲み会もこなすといった状況で、セレブ生活どころか、つねに食卓のBGMが『ミッション:インポッシブル』のテーマという有り様だった。
つねにトム・クルーズと火の車がデッドヒートである。飛行機代が発生する際は無賃搭乗を計画しそうな勢いで貧乏であった。だれよりもミッション:インポッシブルな状況と隣り合わせの新社会人であった。
卵かけごはんのトラウマ
そんな私の食卓は当然お世辞にも充実していたとは言えず、卵かけごはんが主な夕食であった。
一般的には朝食にされることが多い卵かけごはんだが、我が食卓では立派なメインディッシュ。もしメニュー表があったら堂々と「TKG(卵かけごはんの略)~BIMBO風~」と記載してやったと思う。
そんな卵かけごはんに、ある日飽きが来た。なんて残酷なんだ。もはや自身のライフラインであり、ライフスタイルまでも侵食しつつある相棒、卵かけごはん。それに飽きが来るだと?
私はこのいまいましき状況を打破するため、なけなしの卵ラスト1個をごはんにかけ、味の素をふりかけ、電子レンジのスイッチを押した。チャーハン的な何かになって味が変わるかもしれない。
当時の私には、まったく料理の経験がなかった。卵をレンジでチンしたらどのようなことになるかなど想像もしていない。
「もう少しでメインディッシュ(夕食)だ……!」
私の期待を一手に引き受けた卵かけごはんは、レンジのなかで、そして私の目の前で案の定爆散した。
「たっ……! たまごオオォォーーー!!」
いまでも忘れない。マンションの隣の部屋から壁ドンされるほどに絶叫した。
驚き、震え、ひもじく、私はその晩、電子レンジを抱えながらおいおいと泣いた。ああ、ミッション:インポッシブル。任務失敗。
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