ソニーも任天堂に感謝「2024年ベストゲーム」とは 当初5000本も売れなかったゲームが2024年のベストになった理由

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実は本作、PlayStation30周年に合わせた作品でもあった。アストロ自体はそこまで知名度のあるキャラクターとはいえないので、さまざまなゲームの有名キャラクターとコラボレーションしたのは重要だっただろう。

『アストロボット』はレビュー集積サイトmetactiricでも100点中94点と高評価なのだが、筆者としてはPlayStation VR版の初代のほうがよりおもしろく感じた。しかしVRゲームでなくなり、より多くの人に魅力が伝わる状況になってようやく評価されたのだろう。

ソニーの開発者が任天堂に感謝を述べる

ゲーム・オブ・ザ・イヤー授賞式に登壇したTeam ASOBIのメンバー。任天堂のことを話す際には「本当は話すつもりはなかったんだけど」と前置きをしていた(写真:The Game Awards 2024公式配信より)

The Game Awards 2024のゲーム・オブ・ザ・イヤー授賞式では、登壇したクリエイティブディレクターのスピーチも大きな話題になった。

前述のように『アストロボット』はソニー・インタラクティブエンタテインメントが自らのPlayStationのために作ったゲームである。にもかかわらず、登壇者は任天堂に対する感謝を述べたのだ(実際のスピーチでは任天堂を名指ししていないのだが、それでも指し示しているのは明らかである)。

『アストロボット』のような3Dアクションは英語圏ではプラットフォーマーと呼ばれるのだが、このジャンルにおいて任天堂の「スーパーマリオ」シリーズの影響は多大である。

それこそファミリーコンピューターの『スーパーマリオブラザーズ』は言うまでもなく、現在のゲーム開発者たちに多大な影響を与えている。しかもこのシリーズは現役であり、『スーパーマリオ オデッセイ』などでプラットフォーマーの新しい可能性を切り開き続けているのだ。

『アストロボット』は直接的にマリオを模倣しているわけではないが、しかしプラットフォーマーという面においては間違いなく影響を受けているだろう。ライバルでもあり仲間でもあるがゆえに、ゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞するにおいて言及したのだと考えられる。

このスピーチは、ソニー内のチームが任天堂に(直接ではないとはいえ)感謝を述べていることで大きな話題になっている。仮に自分の所属する会社が違ったとしても、ゲーム開発者たちは互いの作品に影響を受けており、同じゲーム好きとして楽しんでいるのである。

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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