カワサキ、最新「メグロS1/W230」に感じる昭和 手頃な軽二輪モデルで伝統の姿と鼓動を再現

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加えて、個人的な印象としては、とくにメグロS1は、前述したブラック×クロームメッキの燃料タンクや、エンジンの切削加工付き空冷フィンなど、磨いたり、洗車のしがいがあるパーツが多いのも注目だ。こうした趣味性の強いモデルの場合、乗ることはもちろんだが、所有することに喜びを感じるバイクユーザーも多い。しかも、昭和レトロ感も満点だから、貴重な骨董品を所有しているような感覚も味わえそうだ。

例えば、昭和の時代に使われた古いコーヒーミルや家電などを収集している人のように、暇さえあれば磨いて、その輝きや造形などを見て悦に入る。最近は、シニアだけでなく若い世代にも、そうした趣味を持つ人が増えているというが、メグロS1の実車を見ていると、そんな幅広い世代のコレクター的な楽しみも味わえそうな気がする。

普通二輪免許でカワサキの伝統を楽しめる

比較的手頃な価格帯の軽二輪モデルで、なおかつ扱いやすいサイズは万人が楽しめるバイクと言えそうだ
比較的手頃な価格帯の軽二輪モデルで、なおかつ扱いやすいサイズは万人が楽しめるバイクと言えそうだ(写真:カワサキモータースジャパン)

もちろん、カワサキでは、兄貴分にあたるメグロK3をラインナップしており、こちらも燃料タンクの立体エンブレムなど、質感の高さには定評がある。だが、773cc・空冷2気筒エンジンを搭載するメグロK3は、運転するのに大型二輪免許が必要。一方、232cc・空冷単気筒のメグロS1なら、普通二輪免許で乗ることも可能だ。

価格もメグロK3は税込み140万8000円。税込み72万500円のメグロS1は約半額、68万7500円も安い価格で手に入る。より幅広いライダーが、よりリーズナブルな価格で、カワサキ伝統のテイストを堪能できるという点で、メグロS1はかなり注目のモデルだといえるのではないだろうか。

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いずれにしろ、こうしたオンロードのネオクラシックモデルは、現在、250ccなどの軽二輪クラスでは少数派。かつては、1990年代から2000年代前半頃にかけて、ホンダ「GB250クラブマン」やヤマハ「SRV250」、スズキ「ボルティー」、カワサキでも「エストレヤ」といった250ccの空冷シングルのロードバイクがあった(W230はエストレヤの後継という見方もある)。

だが、いずれも現在はラインナップにない。少なくとも国内メーカー製モデルの中に、メグロS1やW230のライバル車は、ほぼいない状態なのだ。そんな中、両モデルが、今後、市場からどのような反響を受けるのかが興味深い。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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