さらに当初は外壁のコンクリート彫刻を手がける職人がいたというが、その計画は途中で頓挫し、結局梵さんが外壁を作る“羽目”になる。梵さん自身が職人のように、コンクリート彫刻の外壁を作りあげた。
一方で、壁面のタイルや彫刻、ステンドグラス、鍛造、門扉や郵便受けなど、随所にある装飾は、職人やアーティストが集って担当している。その数は約16人にものぼった。
「協働者として、自由に作ってもらいました。伝えたのは、僕にデザインを見せるな、承認を求めるなということ。あなたという人間に対して頼んだのであって、アイデアに対してどうこうチェックはしない。承認したら安心して作れるじゃない? 人はやっぱり自分で勝負するしかないんです」(梵さん)
協働した職人やアーティストの個性が際立つ
梵さんは装飾の位置だけ示し、できあがりを待った。それぞれの個性が際立つ装飾が作られていく。協働した職人やアーティストは、その後大きく飛躍して活躍している。
「僕の仕事は新鮮だったでしょうね。自分ができなかったことができちゃって、スタイルがどんどん開いていく。だから一緒に仕事をした人たちはとんでもない伸び方しちゃうのよ。これも縁。人と触れ合って生まれる縁ってあるよね」(梵さん)
梵さんにとって協働して作ることを意識した、初めての建築だったという。除幕まで何ができるかわからない、コントロール外の面白さがそこにはあったのだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら