開発か景観か「宝石のような街」盛岡のジレンマ マンション広告「岩手山」取り違えで市民激怒も

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マンションの建設現場
建設現場の近くには古い建物が多く残る(写真:筆者撮影)

もともとこの土地には、岩手県内で最も古い酒蔵である菊の司が大正時代から酒を仕込んできた蔵があり、城下町盛岡の風情を伝える景色として親しまれてきた。しかし、同社の経営悪化により、2021年にパチンコ・スロット事業などを展開する盛岡市内の企業に事業譲渡された。

市民から酒蔵の行く末を懸念する声が上がる中、譲渡先企業は耐震性の問題を理由に製造工場の移転を発表。しばらくして、都内に本社のある中堅マンションデベロッパーによる建設計画が明らかになった。

「岩手山」取り違えで市民が激怒

マンション建設ラッシュを受けて、紺屋町内で染色業を営む経営者や喫茶店オーナーら有志は2024年1月に勉強会を開催。

その後に「紺屋町まちづくりの会」を発足して、街並みを守るための景観のルールの設定や、デベロッパーと地域住民の話し合いの場の設定などを求めて市に要望書を提出するなど、街並みを保全するために働きかけを続けてきた。

紺屋町番屋
大正時代の消防屯所の面影を残す「紺屋町番屋」(手前)は体験・交流施設として親しまれている。その後方でマンション建設が進む(写真:筆者撮影)
茣蓙九商店
景観重要建造物にもなっている古い商家の茣蓙九商店(右)(写真:筆者撮影)

すでに工事が始まり建設やむなしという空気が漂う中、このマンション問題が再燃したきっかけは6月、デベロッパーが盛岡市内で配布した折り込みチラシだった。

「中津川&岩手山ビューと圧倒的な開放感」をうたったこの物件のチラシの全面に載った眺望CGパースの画像が、うたい文句の岩手山ではなく、青森県の「岩木山」になっていたのだ。

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