25年上陸、中国EV「ZEEKR」が脅威と言われる理由 スピード経営で急成長、日本市場の攻略に自信

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2025年冬の日本参入時に投入する「ZEEKR X」(写真:ZEEKR)

日本への進出についてマーズ氏に尋ねると「日本は400万台販売している大きな市場であり、メルセデス・ベンツやボルボ、BMW、テスラと多様なモデルが存在しています。ユーザーも多様なニーズを持っていると想像できるので、ZEEKRにも興味を持ってくれるのではないかと思っています。日本で成功できれば、世界で最もプロダクト評価が厳しいと言われる日本で認められたブランドとなり、その価値は高まりますし、イコール・グローバルブランドとして認められたと言えるでしょう」との答えが返ってきた。

では、実際の販売方法はどうなるのだろうか。

「他ブランドも扱えるフランチャイズ方式を考えています。直販という古い販売方法は取りません。インポーターもEVに興味があるというレベルではなく、熱い情熱をもった企業と組みたいと考えています。日本で成功するには4つの要素が必要ということも理解しています。インフラが重要で、また政府からの補助金も必要です。それとユーザーの熱い情熱も必要で、そしていい製品が必要になってきます」

なるほど日本のインフラが脆弱であることも踏まえ、2025年からはCHAdeMOの出力が現在の150kWから350kWに向上するという話や補助金などの課題も十分理解しての進出なのだろう。吉利汽車グループであることを踏まえると、フランチャイズ式のディーラー販売とは言うが、ボルボの販売店はすでに国内に存在している。逆にボルボはオンライン販売へと切り替わっていくので、ボルボの販売店での展開も考えられる。

新しいもの好きな日本の富裕層がターゲット

そうした販売体制ができたとして、想定ユーザーはどうなるのか?

「日本市場では台数より、存在感を出したいと考えています。またプレミアムブランドの所有経験があり、新しいものへの興味がある人がターゲットになります」。つまりイノベーターやアーリーアダプターが最初のターゲットとなり、ZEEKRのネームバリューを上げ、認知度を上げていくことから始める狙いだと思われる。なんとも余裕のあるスタンスでのアプローチだと感じる。

副社長のマーズ・チェン・ユ氏。40代の若さでグローバルブランドのZEEKRをリードする(筆者撮影)

現在、世界的にEVが踊り場にあるのは、グローバルでは富裕層のイノベーターやアーリーアダプターのEV購入が一巡したからだと見る向きは多い。しかし、日本の富裕層にはまだEVが行き渡っていないと見ているのだろうか。もちろん、日本在住の中国人富裕層がZEEKRに魅力を感じて、飛びつく可能性は高い。

急成長を続けるZEEKRをリードするマーズ氏は、約20年勤めた華為(ファーウェイ)から転じてZEEKRの副社長になった40代だ。出世もZEEKR Speedを感じさせ、そのスピードを持って日本市場が動くのか興味深い。

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高橋 アキラ モータージャーナリスト

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たかはし あきら / Akira Takahashi

東京都出身。大学卒業後、自動車雑誌編集部で編集記者として活動し、主に改造車を得意とする分野で執筆。自らRE、L型エンジンのチューニング、組み立て、テストまで行なった経験を持つ。その後編集プロダクションを設立し、輸入車、国産車の自動車専門誌制作、執筆活動。ラジオ番組制作会社と合併し、クルマのラジオ番組制作、自動車専門Webの編集、執筆を経て、現在、ラジオ番組パーソナリティ、専門誌への執筆、Webへの投稿をしている。技術に裏付けられた個体評価や、次世代に向けた新技術解説、近年では変化する自動車産業について執筆、トークをする機会が増えている。

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