なぜ今「福岡移住」がこんなに盛り上がるのか

移住者が語る、東京にない「余白」の魅力<上>

自身の移住後、『福岡移住計画』の代表としても活躍する須賀大介さん

最初は長野や山梨など、東京に車で通える範囲を検討していたものの、それでは単なる田舎暮らしになると思い、範囲を広げて探していた。そんな時に家族で訪れた福岡で、いろいろな可能性を感じたという。

「自然環境のよさと、街に近いという利便性が両立するところですよね。こんなに自然に恵まれた場所でも、空港まで約30分。そこから東京まで飛行機で1時間ちょっとですから、2拠点への可能性を感じました。アジアに近いという点でも、今後のビジネスを考える上で魅力的でしたね」

しかし、そこには経営者として乗り切らなければならない大きな問題があった。「いちばんのハードルは、スタッフに伝えることでした。これまでトップ営業で仕事を作ってきたので、私が東京を離れることによる売り上げ・利益のダウンは避けられない。正直なところ、全員辞めてしまうかもしれないと思いました」。

それでも、須賀さんは決断する。「このタイミングでなければ、この先10年、20年と会社を続けていくことは難しいだろうと考えました。スタッフとは半年間話し合い、半数は辞めることになりましたが、現在それぞれが活躍していますし、残ったスタッフも成長して東京の仕事を任せられているので、結果としていい形が生まれたと思っています」。

ぶち当たった「2つの壁」

こうして須賀さんは東京の仕事をスタッフに引き継ぎ、福岡へ発った。経営者が地方に移住する、というと、遠隔地でマネジメントだけを行うような印象を受けるが、須賀さんはスタッフに「九州で新しい事業軸を作る」という約束をしていた。

コワーキングスペース「RISE UP KEYA」の概観

「リスクを分散させるために、事業の幅を広げることはずっと考えていたんです。東京は運営コストも高いので、九州で新しい事業を生み出せたらメリットは大きい。新しい可能性を作る、ということで、九州経済の中心である福岡のマーケットを開拓しようと思っていました。中長期的にはアジアへの展開も考えつつ、です」

ところが、ここには誤算があった。「東京である程度の実績もあったのでそれなりに自信があったのですが、移住当初は街から遠い場所に住んだこともあり、まず周囲にマーケットがなかったのです」。

福岡市内のコミュニティに入るにも距離があったため、その後1年ほどはなかなか仕事が作れない日々が続いたという。「また、代表が離れたことによって東京の売り上げも激減し、会社としてやっていけるのか、というところまで落ち込んでしまった」。

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