北海道新幹線「開業延期」で迷走する並行在来線 住民の意見を無視し、道はバス転換にこだわる
北海道新幹線の札幌延伸開業が「5年程度は遅れそうだ」ということは、すでに2022年頃から関係者の間で噂されていたことではあったが2024年5月8日、建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、鉄道・運輸機構)の藤田耕三理事長が「2030年度の札幌開業が困難である」と5月8日、斉藤鉄夫国土交通大臣に報告した。
これを受けて鈴木直道知事は、その後の記者会見の場で「なぜ、このタイミングで判断に至ったのかという理由、工期短縮するためのこれまでの取り組みや成果、開業延期の影響への対応など詳細について、丁寧に説明していただく必要がある」と遺憾の意を表明した。さらに、鈴木知事は北海道新幹線の札幌延伸については「道民の悲願」と強調。その後、5月14日になり国土交通省を訪問、斉藤大臣に早期開業を要望した。
5月29日には鉄道・運輸機構の藤田理事長が札幌市を訪問し鈴木知事や沿線自治体の首長らに謝罪し工事の状況を説明。鈴木知事を始め沿線自治体の首長らは鉄道・運輸機構に対して納得できないと言わんばかりに詰め寄り、八雲町の岩村克詔町長は「なんだ、日本の土木技術もたいしたことないな」と発言し物議をかもした。鈴木知事を始めとした北海道の首長らは、鉄道・運輸機構を一方的に批判するばかりで、いっしょに問題解決を図ろうとする姿勢は見られなかったのは残念だ。自然相手の長大トンネル工事は掘ってみなければわからない側面がある。
泥沼化の並行在来線は問題だらけ
北海道新幹線の札幌延伸開業に伴い並行在来線となる函館本線の函館―長万部―小樽間はJR北海道から経営分離されることが決まった。通常のケースでは並行在来線は新幹線の開業に伴い第三セクター鉄道に経営移管されるのが通常であるが、道が主導する協議会では、2022年3月にまず輸送密度が2000人を超えている余市―小樽間を含む長万部―小樽間の廃止の方針を沿線のバス会社を協議の場に呼ぶことなく独断で決めてしまったことから、北海道中央バスは激怒。各所からも道に対する疑問の声が噴出していた。
その後、バスドライバー不足の問題が表面化したこともあり2023年5月28日のブロック会議を最後に長万部―小樽間の協議が1年以上にわたって中断されるという異常事態に陥っていた。2024年8月28日になり1年3カ月ぶりに開催されたブロック会議では、はじめて沿線にバス路線網を展開する北海道中央バス、ニセコバス、道南バスの3社が協議の場に呼ばれ、道側は鉄道代替バスの内容について説明を行った。
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