北海道新幹線「開業延期」で迷走する並行在来線 住民の意見を無視し、道はバス転換にこだわる

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説明の内容は長万部―小樽間を9つの区間に分割し、余市―小樽間で21本、仁木―余市間で19本、ニセコ―倶知安間で16本の新設のバスが必要になるというものだったが、説明を受けた3社はいずれも既存のバス路線を維持するだけで手いっぱいの状態で、道が提案した鉄道代替バスの本数の確保は一様に困難であるとの姿勢を示した。

こうしたバス会社の姿勢を受けて、余市町の齊藤啓輔町長は、道の案は「バス会社の意見を踏まえると、成立しないとわかった」と強調するなど、沿線自治体の首長は道が提案するバス転換論は実現しそうにないという空気が広がった。地元紙の報道によると、道総合交通政策部の宇野稔弘交通企画監は代替バスの内容は「今後の議論の出発点として示した」としたものの、会合後には「この計画のまま行くとは思っていない」と話したが、道の担当者は「山登りに例えるならばようやく登山口に来た。これから長い調整が必要になる」と発言。あくまでもバス転換にこだわるという本音をにじませた。しかし、余市町の齊藤町長は、協議会開催前の2024年6月24日に開かれた定例町議会で「バス転換合意は迅速かつ大量輸送の確保が前提。それが崩れる場合は合意を撤回する」と答弁している。

大勢の客が殺到し、倶知安町の主張は破綻

新幹線新駅の建設が進む倶知安町では、新幹線新駅の整備に支障をきたすということを理由に、函館本線長万部―倶知安―小樽間の2025年での廃止を主張している。しかし、特に2023~2024年の冬の観光シーズンにかけては倶知安―小樽間ではインバウンド旅行者を含めた大勢の観光客で激しい混雑となり、途中の余市駅では乗客が列車に乗り切れなくなる積み残しが発生したことから、2月に入りJR北海道では日中に運行される2両編成のH100形気動車から3両編成のキハ201形気動車に車両を置き換えて運行を行っているなど、バスではさばき切れないほどの利用者がいる現状では倶知安町の主張は完全に破綻している。ある関係者は「倶知安町の廃止前倒しの主張については、道庁から2022年6月頃まで倶知安町に出向してきた参事クラスの職員が計画をまとめていたようだ」と証言する。

北海道交通政策局並行在来線担当課長の小林達也氏によれば、北海道中央バスなどバス会社と鉄道代替バスの相談を始めたのは、廃止の方針を決めてから1年以上経った「2023年5月になってから」であること。さらに、鉄道の維持については「財政的な負担」であるという認識を示し、道の仕事のずさんさと政策姿勢を浮き彫りにした。

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