代車と運転手手配「東京海上」運送保険特約の中身 三井住友海上は環境「新種保険の最前線」<後編>

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激甚性の高い大地震ではライフラインが寸断して、当座の資金不足が深刻になる。そこで同社では通常200日程度かかるところを10日程度で保険金(休業補償)を支払う特約の開発を検討した。

23年5月に発生した能登半島地震(最大震度6強)では、珠洲市にある保険加入先のホテルで宿泊予約のキャンセルがあった。実質休業状態だったが、地震発生7日後に保険金を支払い、売上高の減少を早急に補填することができたという。これまで約1350件の実績があり、支払保険金は平均約100万円である。

保険金に代わりトラックとドライバーを手配

厳密には新種保険とはいえないが、業界で注目される保険がある。東京海上日動が24年5月から国内で初めて販売開始した保険である。同社は運送保険の特約としてトラック運送業者向けに緊急時の代行輸送手配サービス付きの運送保険の販売を開始した。

従来は、費用担保特約として緊急時における貨物の運搬や急送に要した費用を保険金として支払っていた。しかし運転手不足や労働時間の上限規制、いわゆる「物流2024年問題」が顕在化して、各運送会社では代行輸送の対応が難しくなってきている。

そこで同社では今回、保険金の支払いではなく、トラックとドライバーを手配するサービスを提供するという運送保険を開発したのである。

保険加入者は、事故発生後に専用のコールセンターに電話してサービスの提供を受ける。24時間365日、沖縄、離島を除く全国で対応可能。大型車、冷蔵車、冷凍車などニーズに応じて手配でき、積み替えのためのフォークリフトの貸し出しや補助人員も手配してもらえる。

この仕組みはJHRネットワークサービスが21年からフジトランスポートとの共同事業として始めた緊急時代行輸送手配サービス「いざトラ」との提携により実現した。

東京海上日動が推進するサプライチェーン強靭化の一環として、今後も物流2024年問題の解決に貢献するため、商品・ソリューションの開発を進めていく意向だ。

福田 三郎 ライター

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ふくだ さぶろう / Saburou Fukuda

ライター

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