韓国トップアイドルが「イジメ吐露」に至ったなぜ 事務所と育ての親の板挟み「NewJeans」の憂鬱

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そして、ミン氏は、HYBEが進めていた臨時株主総会での自身の代表解任の動きに対して、HYBEを相手に議決権行使禁止の仮処分申請をソウル地裁に提出する攻防に出た。

ソウル地裁は総会が開かれる前日の5月30日、この仮処分を認めた。ただし、「ミン・ヒジン代表がADORを独立的に支配できる方法を模索したことは明らかだと判断できる」と独立を図ったことは事実だと認めている。しかし、これが、「模索の段階を超えて具体的な実行行為までに及んだと見るには難しい。また、ADORの背任行為とすることは難しい」として仮処分を認容し、ミン氏の代表解任には待ったをかけた。

その後、HYBEはADORの理事の中でミン氏に最も近い2人を交代させ、8月27日、ADORの理事会はミン氏を代表職から解任し、新代表を選出した。NewJeans メンバーがYouTubeでの緊急ライブ配信を行ったのはこの後だ。

個人事業者は勤労基準違反にはならない?

ミン氏はそのライブ配信から2日後の9月13日、ソウル地裁に対し「解任はHYBEと結んだ株主契約に違反するものであり、裁判所の議決権行使禁止仮処分決定へ反する」とし、「ADORの臨時株主総会招集およびADOR社内理事再選人のための仮処分」を申請している。10月11日には審問が行われ、25日までに追加審問が行われた後、早期に結果を出すとしている。

ミン氏は中央日報紙との単独インタビューで「傘下の子会社が親会社トップの神経を逆なでたことへの公開処刑にあった」(9 月26日付)と語り、ある講演では、「私には罪がないので勝たなければいけない」と発言している。勝った場合、それは、どのような勝ち方になるのだろうか。

韓国ではテレビ各局が自社のYouTubeチャンネルで生中継をするなど、ハニの国政監査出席の話題性は十分だった。が、「HYBEが故意にイジメをしたことが証明されれば勤労基準法違反として何らかの処分をうけることになりますが、(韓国の)法曹界では雇用労働省が個人事業者を勤労者として認めるには無理があるとしていて、陳情を却下せざるを得ないのではないかと見立てています」(韓国全国紙記者)という。

菅野 朋子 ノンフィクションライター

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かんの ともこ / Tomoko Kanno

1963年生まれ。中央大学卒業。出版社勤務、『週刊文春』の記者を経て、現在フリー。ソウル在住。主な著書に『好きになってはいけない国』(文藝春秋)、『韓国窃盗ビジネスを追え』(新潮社)がある。

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