みずから野菜もつくる--生鮮品強化を差別化に据えるローソンの戦略
みずから生鮮品をつくるローソンファームは、この差別化戦略のキモとなる。ローソンファームで収穫した野菜はローソンが全量を買い取り、生鮮品を扱う近隣県の店舗で販売する。コンビニ他社も生鮮品の取り扱いに乗り出しているが、生産にまで入り込んでいるのはローソンだけだ。
12月14日にはトマトの初出荷に合わせ、新浪社長、広瀬勝貞・大分県知事、中原健一・宇佐市副市長らが大分県庁で設立報告会を開いた。
ローソンファーム大分から県内のローソン店舗へ出荷されたトマトの価格は、大2個(または中3個)で298円。スーパーでの価格とそれほど変わらない。店頭には「ローソンファーム」のロゴと生産者の顔写真を載せたポップが付けられ、消費者の安心・安全意識の高まりに応える。
新浪社長は「野菜のような鮮度の高いものは、お客様も圧倒的に国産品がいいと思うはずだ。われわれのような企業と農家がもっともっと密接にコミュニケーションを図ることで、日本の農産物の付加価値を高め、国産品は最高にいいんだとお客様に知ってもらうきっかけにしたい」と意欲を見せる。
ローソンファーム大分の小野聖一朗社長によれば、「ローソンと組むメリットは価格が安定すること」。これまで市場の相場変動により収益への影響を受けやすかったが、全量買い取り制や安定した販路の確保により確実な収益が期待できるようになる。
ローソンは今後、ローソンファームでの生産量・品目を段階的に増やし、サラダや弁当、サンドイッチの材料などにもローソンファームで採れた生鮮品を利用したいという。現段階ではファームの規模が小さく、原材料としての利用はまだ先になるが、規格外の生鮮品の有効活用から始める。
ただ、被災地での展開については、「雇用を生む効果もあるのでいずれはやりたいが、まだ行政とコミュニケーションを図れる段階ではない」(新浪社長)という。
(平松 さわみ =東洋経済オンライン)
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