セブン&アイ「コンビニ専業」で求められる覚悟 社名はセブン‐イレブン・コーポレーションに

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10日の説明会では「なぜ本来の企業価値が市場に評価されていないと感じるか」との質問に対し、井阪社長は「なんといっても業績。株主の期待に応えられていない」と話していた。

この点についてグループ内からは「市場にうそをつき続けてきたからだ」と指摘する声も上がる。象徴的なのは、発表の目玉である構造改革についてだ。

物言う株主、バリューアクトは非コンビニ事業の分離を求め、「スーパーは不可欠」とする井阪社長に昨年の株主総会で退陣を迫った(記者撮影)

そもそも、ヨーカ堂など非コンビニ事業の切り離しは、数年前からアメリカの投資ファンド・バリューアクトが指摘してきたことだった。

井阪社長は自身の解任がかかった2023年の株主総会に向けた委任状争奪戦のさなか、「スーパー事業はグループに必須」との反論を繰り返し、子会社として持ち続けるように受け取られていた。

しかし、結局は今年の4月に「(最短で2027年度に)スーパー事業を上場させる。将来的には連結にこだわらない」と明かし、今回はIPOに先んじて2025年度中に持ち分法適用会社化する方針を示すに至った。

こうした背景から「株価が振るわないのは、経営陣の評価によるディスカウントが大きい」と話すグループ幹部もいる。

セブン経営陣に求められるものとは

井阪社長はヨークHD設立などの組織再編について「非連結化が目的ではなく、(スーパー事業の)さらなる成長戦略を明確に提示することが目的」と語るが、買収提案に対する焦りから構造改革を加速させているようにも見える。

構造改革の道筋をつけた今、コンビニ専業へと生まれ変わる同社に求められるのは、独立路線でこそ企業価値を高められるという根拠をコンビニ事業の結果をもって示すことにほかならない。

井阪社長は説明会の終盤、「対応すれば必ず拓ける、が私の信念。コンビニにとって厳しい環境かもしれないが、変化対応という原点に立ち返ってとにかくやっていくしかない」と語った。その覚悟が問われている。

冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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