インドネシア「高速鉄道計画見直し」の波紋 好調な海外直接投資に影響も
[ジャカルタ 4日 ロイター] - インドネシア政府が、日本と中国が受注争いを繰り広げていた高速鉄道計画を土壇場で撤回したことは、インドネシアへの主要な投資国である両国を混乱に陥れた。減速するインドネシア経済において、同国への海外直接投資(FDI)は数少ない好調な分野だっただけに、その影響が懸念される。
首都ジャカルタと南部バンドンを結ぶ、50億ドル規模の高速鉄道計画をめぐり、日中はよりインドネシア側に有利な内容に条件を変えるなど、激しい受注合戦を展開してきた。
しかしジョコ大統領は3日、高速鉄道は必要なく、中速度の鉄道で十分との判断を下した。インドネシア政府は、日中両国に対し、中速鉄道の建設に向けて新たな計画を提示するよう要請した。
マスドゥキ大統領首席補佐官は「第三者のコンサルタントがまとめた勧告は、中速鉄道がよりすぐれた選択肢であるとの内容だった。コストが安く、移動時間もそれほど長くならないからだ」と説明した。
ジョコ政権下では規制が目まぐるしく変わり、政策方針が一貫しないことが頻繁に起きているが、その最新の例となったようだ。
日本の駐インドネシア大使は遺憾の意を表明した。中国大使館の職員は詳細な情報が得られるまでコメントしないとした。
英エコノミストの調査部門エコノミスト・ インテリジェンス・ユニットの在北京アナリストは「このプロジェクトは中国が優先課題としていた。習近平国家主席のシルクロード(一帯一路)構想を最もわかりやすい形で最初に示すことができる計画の1つだからだ」と述べた。
日本はインドネシアにとって第2位の投資国だが、大規模なインフラ事業が不透明な状況に阻まれる事態にたびたび直面してきた。
ジャカルタの政治アナリスト、ポール・ローランド氏は「同国でプロジェクトの延期が相次ぐ累積的な影響が、投資家に不快なサインを送ることになるだろう」と指摘した。
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