イスラエルを取り巻くここ2カ月ほどの主な動きを時系列に整理したい。
2024年7月30日、IDFはレバノンの首都ベイルートを空爆し、ヒズボラの最高幹部フアド・シュクルを暗殺したと発表した。シュクルはヒズボラ創設メンバーの1人で、ヒズボラの最高指導者ナスララの側近だった。戦争が勃発してから、ハマスを側面支援するという名目で、レバノン南部からイスラエルへの攻撃を指示してきた人物である。
翌7月31日、ハマスの最高幹部イスマイル・ハニヤがイランの首都テヘランで暗殺された。イランのペゼシュキアン新大統領の就任式に出席するため、テヘラン滞在中のことだった。
ハニヤ暗殺に関してイスラエルは沈黙を貫いているが、ピンポイントでハニヤとその側近だけが殺害されたことを見ても、何らかの攻撃に巻き込まれたわけでないことは確かである。イランにとっては首都テヘランで堂々と「来賓」を暗殺されたわけで、面子をつぶされる形になった。
イスラエルの諜報活動が浸透
ハマスは「他国からイランに向けて発射されたミサイルによって暗殺された」と声明を発表したが、部屋に仕掛けられていた爆弾が爆発したという説もある。
いずれにしても、これが仮にイスラエルの諜報機関による暗殺だったとすれば、ハニヤの動向は完全に掌握されていたことになる。つまり、テヘランのかなり中枢にまで諜報活動が浸透していたということである。
イランのペゼシュキアン大統領は、ハニヤ暗殺について「明らかな国際法違反だ」とし、イスラエルに対して「犯罪の報いは確実に受ける」と報復を宣言した。その一方で、「イランは地域の紛争や危機を拡大するつもりはない」とも述べた。
8月6日、ハマスはハニヤの後継としてヤヒヤ・シンワルを組織のトップに任命したと発表。シンワルは、2023年10月7日のテロ計画を首謀した人物として、イスラエルの最重要指名手配者となっている。
戦争が始まってから1度も表舞台に姿を現しておらず、今もガザトンネルのどこかに身を潜めていると見られている。
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