あの「加賀屋」と組んだ北陸観光列車の実力 金沢-和倉温泉間で「花嫁のれん」が出発進行

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2号車に設置されたイベントスペース(撮影:尾形文繁)

2号車は大型液晶スクリーンが設置されたイベントスペースが設けられている。車内は開放感のある造りになっており、「にぎやかに旅を楽しむのがコンセプト」(JR西日本)という。

このような乗客を楽しませるための徹底的なこだわりは、JR九州の観光列車とどこか共通しているように見える。同社は1990年台初頭にそれまで鉄道とは無縁だった工業デザイナーの水戸岡鋭治氏を起用し、当時の鉄道業界の常識では考えられないデザインの車両を次々と九州全域に送り出してきた。今や全国の観光列車の頂点に上り詰めたといっても過言ではない。

そんなJR九州について、花嫁のれんの内装デザインを手掛けた井上昭二氏は「めちゃくちゃ意識してますよ」と言う。同氏は、国際花と緑の博覧会で「JAL」パビリオンや「JR義経号」パビリオンなどの総合デザインを担当したほか、愛・地球博「日本政府館」のビジュアルデザインなど、数多くの実績がある。

ちりばめられた"遊び"のデザイン

「花嫁のれん」をデザインした井上氏(撮影:尾形文繁)

観光列車のデザインにかかわる者なら、JR九州の列車が気にならないはずはない。「あっち(JR九州)よりもよいものを造ろうと思った」と井上氏は率直に打ち明ける。能登の魅力を車両全体に取り入れつつ、JR九州の観光列車を上回るものを造るべく、知恵を絞った。

井上氏が意識したのは、一般的な鉄道車両と違って「シンメトリー(左右対称)が一切ない」という点だ。通路だけでなく、天井の照明までもが一直線ではなく、クネクネと曲がっている。「金沢の曲がりくねった小径を歩くイメージ」(井上氏)だ。

「デザインでは遊びに遊ばせてもらいました」と言う井上氏だったが、遊び心満点のデザインを実現させるために、製造現場と相当な議論がかわされていた。JR九州の観光列車は木材をふんだんに使っているが、水戸岡氏は難燃性の素材の使用をめぐって製造現場と何度も議論を重ねたと明かしている。井上氏も列車に用いる材料についてJR西日本の製造現場と何度も議論したという。

たとえば、1号車に敷かれている日本庭園の飛び石をデザインした絨毯。当初は車両の床に本物の石を敷き詰めるというアイデアだったが、車両が重くなるために見送られた。最終的に絨毯の柄で表現するということになり、井上氏が細かい石の粒1つ1つを図案に起こして「日本庭園の飛び石」を再現したのである。

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