インテル「独り負け」招いたCEO肝煎り事業の混沌 時価総額はAMDの半分以下、直近業績は赤字転落
言わずと知れたCPU(中央演算処理装置)の大手メーカーであるインテル。同社の事業領域は大きく2つだ。「Core i」シリーズなどで知られるPC向けと、「Xeon(ジーオン)」というブランドで展開するサーバー向けのCPUだ。それぞれ、売上高の57%、23%を占めている。
2010年代前半までは、これらのCPU市場で100%近いシェアを誇っていた。だが10nm以降の微細化競争で躓き、製造を台湾TSMCに委託していたAMDの台頭を許すことになる。
近年はソフトバンクグループ(SBG)傘下のアームの攻勢も受けるようになっている。もともとスマホ向けに強いアームは、SBGによる買収後、PCやサーバー向けにも進出。アームのレネ・ハースCEOは「2030年までにはウィンドウズPCの過半がアームベースのCPUになる」と意気込むほどだ。
AI半導体市場への乗り遅れやライバルによる攻勢。インテルを取り巻く環境は確かに厳しいとはいえ、CPU市場でいまだ70%以上のシェアを握る超大手であるのも事実だ。実際、2024年1〜6月期もCPU事業では237億ドルを売り上げ、62億ドルの利益を稼いでいる。
先端技術開発で後れ
インテルの苦しみの元凶はむしろファウンドリー事業だ。この事業が垂れ流す莫大な赤字によって、CPUからの収益を食い潰してしまっているのが現在の姿である。
これまで同社は半導体の設計から製造までを自社で一貫して行い、半導体の高性能化につながる微細化で業界をリードしてきた。
一方でTSMCや韓国サムスン電子が、ファウンドリー事業により半導体の生産規模を拡大。2010年代後半以降、インテルは先端技術開発で後れを取るようになった。
ファウンドリー事業への参入は、パット・ゲルシンガーCEOが2021年に掲げた戦略の柱だ。現行世代では他社への生産委託も活用する一方で、ファウンドリー事業で2025年内には1.8nm相当の次世代品を製造することでTSMCに追い付き、再び業界をリードすることを狙ったのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら