「ネコの宇宙葬」も!今どき"葬祭ビジネス"の中身 ペット葬儀・遺体安置…、展示会で見た最新事情

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ペット用の遺体安置冷蔵庫をブースで披露していたのは、たつみ工業(神奈川県川崎市)だ。2021年から人用の遺体安置冷蔵庫の製造販売を本格化。その流れでペット用にも乗り出した。

「人の場合は火葬の前にお葬式があるなどお別れするまでに段階を踏めるが、ペットの場合は違う。ペットでも、冷蔵庫で安置して最適な環境にしてお別れするニーズがあるのではないかと思った」

たつみ工業の岩根弘幸社長は開発の動機をそう話す。ブースを訪れた中国からの来場者とは商談に発展するかもしれないと期待を寄せる。かつての一人っ子政策の影響により、ペットを子どものように可愛がっている家庭が多いとのことで、ペット用遺体安置冷蔵庫に関心を示しているそうだ。

ニーズの背景に「火葬待ち」

1962年創業のたつみ工業は、コンビニ内に設置される飲料用などの冷蔵庫を得意とする。首都圏では「セブン‐イレブン」を中心に約8割のシェアを握り、売上高のほとんどをコンビニ向けが占めていた。それがペット用の遺体安置冷蔵庫まで発売するに至ったのは、大きく2つの環境変化があった。

たつみ工業の岩根弘幸社長
コンビニ用冷蔵庫で培ったプレハブ式で造る技術が生かされていると、たつみ工業の岩根弘幸社長は話す(記者撮影)

1つは2010年代半ば以降、大手コンビニの出店が徐々に一巡したことだ。それに伴ってコンビニ向け冷蔵庫の成長も鈍化し始めた。

もう1つはいわゆる「火葬待ち」の発生だ。死亡者数の増加で都心部を中心に火葬場の混雑が指摘される状況になっている。これを受けて、ドライアイスで冷やすより手間のかからない遺体安置冷蔵庫のニーズが高まってきた。

最後の一押しとなったのはコロナ禍だった。コロナ感染者の遺体が病院から火葬場に直接搬送されるなどし、火葬待ちが深刻化。葬儀社などから問い合わせが相次ぎ、それまで要望に応じて作っていた遺体安置冷蔵庫の本格販売に乗り出した。

岩根社長は、コンビニ向け以外の新領域の柱の1つとして、遺体安置冷蔵庫の拡大に期待する。耐熱パネルを1枚1枚現場に持ち込み、葬儀場の空きスペースに合わせて冷蔵庫をつくるオーダーメードのメーカーは同社のほかにいないという。

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