合点!ローソンが「過疎のスーパー跡地」を狙う理由 コンビニ出店競争は激化、地方でどう戦うのか
まず触れなければならないのが、地方スーパーの厳しい経営環境だ。地方は人口減少、高齢化による「胃袋縮小」の影響がかねて指摘されてきた。そこに追い打ちをかけるのが、労働力不足、人件費や電気代など店舗運営コストの高騰だ。足元では和歌山地盤のオークワ、山形のヤマザワのように上場企業でも集客に苦戦し、利益を出せない企業が増えている。
そんな中で、各社は「20年、30年以上先の収益構造や人口減少を加味して、最適な店舗網の再検討を迫られている」(上場スーパー首脳)。結果として、地域唯一のスーパーが撤退を余儀なくされることもある。
受け皿として期待されるのがコンビニだ。スーパーよりも小さな面積で運営でき、物流を含めたオペレーションは効率的だ。必要人員や経費も抑えられる。スーパーでは成り立たなくとも、コンビニなら黒字化できる立地も多いという。
エリアカンパニー制も出店を後押し
全国で出店余地が限られる中、ローソンはこうしたチャンスをものにするために取り組んできたわけだ。
変わった運営方式の店の例もある。今年7月に地区唯一だった生鮮小売店跡地に開業した長野県下伊那郡の阿南町新野店は、買い物場所に困った地元住民が形成した組合によって運営されている。そのほか、地方スーパーチェーンがローソンのフランチャイズに加盟し、既存の店舗を建て替え、新たにローソンを出店する事例もある。
スーパー跡地ではないが、富山県の立山町にある立山町役場店のように、書店が1店舗もない地域に、書店併設型のコンビニ出店も進めている。
ローソン常務執行役員の川畑卓開発本部長は「2022年の着任早々、スーパー跡地への出店を研究し、採算が見込めるところへアプローチを続けてきた」と話す。以前はこうした形の出店はほぼゼロに近かったが、最近では年間10店程度は出店するようになっているという。
同社は現場への権限委譲を目的に、2022年度から北海道、近畿で導入していたエリアカンパニー制を翌年度から全国に拡大。それぞれのエリアを担当する開発部も各カンパニー傘下に設置した。
各地域の開発部の直接的な所管は、東京本社の開発本部ではなく、各カンパニープレジデントとなった。「それぞれのカンパニーに予算が振り分けられており、地域の裁量が拡大したことで、従来は消極的だった立地への出店も増えてきた」(川畑氏)。
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