チョーヤ「創業家が自ら営業」した海外事業の今 黒字化まで30年…創業家の情熱と、時代適応

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一方で、アジアの国々でプロモーションをはじめると、ここ数十年の間に経済発展を遂げたこともあり、じわじわとシェアが伸びていった。これらの国々では、梅という果実や漢字になじみがあったからだ。なかでも、台湾、香港、タイ、シンガポールで好まれ、現在の輸出先の中心となっている。

この海外への地道な営業活動は現在も続いており、金銅氏の兄で現社長の金銅重弘氏は、今でも海外で梅酒をセールスしているという。

展示会
海外の展示会にも積極的に出展している(写真:チョーヤ梅酒提供)

国内ニーズは2極化。どちらにも応える商品展開を

一方、国内市場はどうなっているのだろうか。チョーヤの2023年12月期の決算での総売上高は139億円を上げているが、それを支える梅酒へのニーズは今、大きく2極化しているという。濃厚な熟成梅酒を求める層と、アルコール感の薄い梅酒を好む層だ。

特に20~30代の若年層では、「お酒は飲みたいけど、酔いたくはない」「もうアルコールを飲まなくていい」という人も増え、この潮流が従来の14%から10%にアルコール度数を落とした『さらりとした梅酒』や、ノンアルコールの『酔わないウメッシュ』などのヒットを生んだ。

『さらりとした梅酒』と『酔わないウメッシュ』
「酔いたくない」若年層にヒットした、従来の梅酒よりも低アルコールの『さらりとした梅酒』と、ノンアルコールの『酔わないウメッシュ』(写真:チョーヤ梅酒提供)

他方で、昨今のウィスキーブームを受けて、度数が高く味わい深い酒を好む中年層も増えている。そのため売り上げは、もともと同社が展開していた、度数が高く濃厚に熟成した味わいを楽しむ『The CHOYA』と『さらりとした梅酒』が2本柱に。そこに加えてノンアルコールの『酔わないウメッシュ』が入り、今は3本柱という状況だ。

人々のライフスタイルが変わると、当然消費者ニーズも変わる。商品は梅酒ひとすじの同社だが、そこに合わせた商品開発をしているからこそ、成長を続けていられるのだろう。

『The CHOYA』シリーズ
濃厚な熟成梅酒を求める層に人気の高い『The CHOYA』シリーズ(写真:チョーヤ梅酒提供)
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