北海道が提案、函館「新幹線アクセス線廃止」の愚 運転手不足なのに4000人超をバスで運べる?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2022年3月に後志ブロック会議で廃止の方針を決めた長万部―小樽間については、協議を主導した道がバス会社との相談を始めようとしたのは同区間の廃止の方針を決めてから1年以上が経過した2023年5月となってからのことだったことが、筆者が番組監修を担当したBSフジ・サンデードキュメンタリー「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」番組内での北海道交通政策局・小林達也並行在来線担当課長へのインタビューで明らかにされた。さらに小林課長は並行在来線の鉄道としての維持について「財政的な負担」であると述べ、廃線は決まったこととしてバス転換以外の選択肢は一切排除する姿勢だということも浮き彫りにした。

番組内では、沿線にバス路線網を展開する北海道中央バスについても取材を実施。特に輸送密度の多い余市―小樽間をバスに転換した場合、通勤通学の時間帯に十数台のバスとドライバーの手配が必要になるが、これが可能なのかとの質問を行ったところ「無理だ」と回答している。

その後、後志ブロック会議は1年以上に渡って協議が中断する異常事態が続いていたが、2024年8月28日に1年3カ月ぶりに開催された会議では、はじめて北海道中央バス、ニセコバス、道南バスの3社が呼ばれ道側が運行本数など鉄道代替バスの内容を説明。説明を受けた3社はいずれも既存のバス路線を維持するだけで手いっぱいの状態で、道が提案した鉄道代替バスの本数の確保は一様に困難であるとの姿勢を示した。

バスでは「積み残し」が出る

そのような中で、バスの現場関係者からは「せめて倶知安までは鉄道を残してほしいのが本音です」という声が漏れ聞こえてくる。今や国際的なリゾートエリアとなった倶知安駅を中心とするニセコエリアは、冬季間は例年大変な混雑状況となり、リゾートエリアまでバスを利用する観光客も多い。特に「外国人観光客は、大型のキャリーケースを持って移動することから、定員70人のバスではどんなに詰め込んでも35人程度しか乗せられない現状がある」という。

函館本線の倶知安―小樽間も大変な混雑で1両の定員が99人で扉の間口が広いH100形気動車でも時には積み残しがでるほど乗降に難儀している状況から、前出の関係者によると「バス1~2台ではとてもさばける状況にない」という。JR北海道は、あまりの混雑から2024年2月には、日中の一部の列車を2両編成のH100形から、3両編成ロングシートで1両の定員が141~153人のキハ201系に置き換えて運行を行った。当初は2月3日から18日まで限定的に実施する予定だったが、その後もしばらくの間、週末にキハ201系の運行が継続された。

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事