ユーロ圏ソブリン危機の深刻化がEU加盟国の格付けを圧迫《ムーディーズの業界分析》

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 このシナリオが帰結するところは大まかに2つである。1つは、ギリシャのPSI(民間セクター関与)プログラムのほかに、ユーロ圏諸国で1件以上のデフォルトが発生するというもの、もう1つは、それに加えてユーロ圏から離脱する国が出てくる、というものである。

・ユーロ圏諸国で(ギリシャのPSIプログラムのほかに)複数のデフォルトが発生する可能性はもはや無視できるものではなくなっている。流動性危機が長引くほど、デフォルト確率が高まるペースも加速する、とムーディーズは見ている。

・一連のデフォルトが発生すれば、1カ国以上のユーロ加盟国がデフォルトするだけでなく、ユーロ圏を離脱する可能性も大幅に高まるだろう。複数国のユーロ離脱、すなわちユーロ圏の分裂は、すべてのユーロ圏諸国およびEU加盟国の格付けにマイナスの影響を及ぼすとみられる。

いまだ状況が流動的かつ急速に変化している。政府は新たな政策によってリスク上昇に対処するであろうが、採られた政策が格付けに与える影響については慎重に検討する必要がある。同時に、財政状況に対して新たな事象(新たなプログラムの発表であれ、ユーロ圏全域での調達コストのさらなる上昇であれ)が発生すれば、一部の国に対しての選択的な格付け変更につながる可能性がある。

大局的には、近い将来、信用市場の安定化をもたらす大規模な政策措置が講じられなければ、あるいは、他の何らかの要因で信用市場が安定化しなければ、ユーロ圏内、そしておそらくは他のEU諸国におけるムーディーズの格付け構造の全体的な見直しが必要になる可能性がある。ムーディーズは、この見直しを12年度第1四半期中に完了する予定である。

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