中国高速鉄道、急成長の影で「幽霊駅」出現の衝撃 開業後すぐ休止や完成後未使用の駅が各地に

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中国で高速鉄道の整備が始まったのは2000年代だ。2008年の北京―天津間開業以降、各地に高速新線が開通した。建設の初期段階においては、当時の中国鉄道部がプロジェクトの主導権を握り、駅建設の方針や位置について大きな影響力を持っていた。

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2008年に開業した北京―天津間の高速鉄道=北京南駅、2009年(編集部撮影)
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2010年に運行を開始した上海―杭州間の高速鉄道=上海虹橋駅、2011年(編集部撮影)

高速鉄道の小規模都市への乗り入れの進展は、2013年の鉄道部解体後の中国鉄路総公司(CRC)設立に始まり、2019年の国鉄集団への改編によりさらに加速した。

このような変化の過程で、高速鉄道網はさらに拡大し、地方の中小都市にも通じたことで、こうした地域の経済発展と交通インフラの改善に寄与している。また、地方自治体の出資比率が高くなり、駅の建設方針に対する地方の影響力が強まることになった。

地方自治体が高速鉄道駅の誘致を図るのは、政治的な成果のアピールや都市イメージの向上などが理由だ。日本を含む他国でも「政治的な理由」で造られた鉄道路線や駅が存在していることを考えると、地方が高速鉄道駅を求めるのはうなずける。

「無計画」な駅設置が背景に

だが、この地方の提案による駅設置が「幽霊駅」を生み出す要因となっているようだ。

中国はわずか15年余りで4万kmを超える高速鉄道網を整備しただけに、強制的な土地収用を行って建設してきたように思われがちだ。だが、実際には地方自治体などと何度も調整を重ねている。

その過程では、地方自治体が線路用地の取得や家屋の取り壊し・移転を支援する一方、地方側が自前の投資を前提に、駅の設置や市街地に入るための連絡線の敷設を提案することもある。計画によっては、国鉄集団はこうした駅や連絡線の設置提案を受けることがあるという。

ただ、実際には旅客数が計画を大きく下回るケースがある。そのような場合、国鉄集団は列車の停車回数を減らしたり、さらには旅客営業を停止したりする判断を下すことがある。その結果として「幽霊駅」が生まれるわけだ。

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