証券市況の低迷長期化で野村HLDの12年3月期、13年3月期東経予想を減額、不採算の欧州リストラ断行で背水の陣

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会社側としては、何としても通期黒字を確保して、株主への年間配当金8円とともに、社員のモチベーション、さらには信用格付けを維持したい考え。野村土地建物の連結化、すかいらーくの売却はそのための「益出し」といった性格も色濃い。

今後の注目点は、リーマン買収後初めての大規模なリストラ実施だけに、その進捗度合いとともに野村のグローバル・ネットワークに悪影響が出ないかどうかだ。柴田COOは、「当社の海外部門は、現時点では資本の6割が欧州、3割が米国、1割がアジア(日本を除く)という割合だが、今後は欧州を身軽にし、経営資源の地域配分を適正化する」と言い、「グローバル展開、顧客中心主義は野村の変わらぬコミットメント」と強調している。

また、「グローバルな金融機関の多くは今、費用削減、資本増強、リスクアセット削減の3つを迫られているが、当社は費用削減だけ対応すればいい」(柴田氏)として、出資受け入れや再増資の憶測は否定した。9月末現在、バーゼル3の自己資本規制を当てはめると、Tier1比率が8%台後半~9%、普通株中心のTier1コモン比率でも8%超と健全性は維持している(野村は自己資本比率の上乗せを義務づけられる国際的金融機関G−Sifisの対象外)。

ただ、「欧州を中心とした市場の混乱期はあと2年ぐらい続く」と柴田COOも展望するように、証券界の悪環境は長期化するおそれが強い。もし7~9月期のような大幅赤字が続くようなことになれば、さらなる株安や格下げなど、市場の圧力が高まり、リーマンショック後の米モルガン・スタンレーのように、他社の救済出資を要請する事態に陥りかねない。

組織の求心力と収益力を維持しながら、いかに大規模リストラを実行できるか。野村にとって背水の陣が続きそうだ。

(中村 稔 =東洋経済オンライン)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)   営業収益  営業利益 経常利益  当期利益
◎本2011.03  1,385,492 ・・ 93,255 28,661
◎本2012.03予 1,600,000 ・・ 50,000 15,000
◎本2013.03予 1,650,000 ・・ 100,000 50,000
◎中2011.09  804,857 ・・ -10,274 -28,321
◎中2012.09予 800,000 ・・ 40,000 20,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
◎本2011.03  7.9 8 
◎本2012.03予 4.1 8 
◎本2013.03予 13.7 8 
◎中2011.09  -7.8 4 
◎中2012.09予 5.5 4 
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