JR東・東海・西「新幹線アイス」でコラボ商品の狙い 開発現場に潜入、会社の垣根越え25年販売目標

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そして、JR東日本管内の新幹線では一部列車・区間を除く、各新幹線で普通車を含めワゴンによる車内販売を継続している。2019年にはアイスクリームと並んで人気商品の代表格であるホットコーヒーとともに販売をいったん休止したものの、やはり利用者からのリクエストは多く、2022年8月には両商品とも販売を再開した。各社業態は異なるが、アイスクリームは車内販売の最重要商品には変わりない。

もはや文化ともいえる「新幹線とアイスクリーム」の関係だが、この関係が今、各運営会社の壁すら超えている。

2024年6月某日。東京駅からほど近い、JR-PLUS東京本社の会議室には、3社3様の制服姿で車内販売に従事する7人が集結した。東海道新幹線と山陽新幹線のパーサーは新大阪駅で互いの姿を見ることはあるが、JR東日本系列のアテンダントと東海道・山陽新幹線のパーサーが同じ場所に会するのはまれな光景である。そして、この日の議題こそ、アイスクリームなのである。

3社のパーサー・アテンダントがプレゼン

2022年、JR-PLUSとJR東日本グループで車内販売事業を行うJR東日本サービスクリエーション(以下、J-Creation)の両社は、車販における交流会を実施。それをきっかけに2023年7月には東日本エリアをモチーフにしたコラボフレーバー「ずんだ」、2024年3月には東海エリアをモチーフにした「京都宇治抹茶」を発売した。いずれも好評を博し、第3弾としては西日本エリアをモチーフとしたアイスクリームを企画したいと、新たにJR西日本のジェイアール西日本フードサービスネット(以下、FSN)へアプローチ。参画が決定し本開催となった。

今回の会議は第3弾アイスのフレーバーの選定を行うもので、3社のパーサー・アテンダント自身が新フレーバーの味や企画、テーマを検討しプレゼンを行う。「自身らがこうして商品を企画し、実際に自らの手で販売するというのが大切」とJR-PLUS列車サービス運営部の杉本幸俊部長が話す。このことが仕事のやりがいにつながり、減少傾向が続く本業界における人材確保につなげたい思いもある。

同社間でも初対面というメンバーもいるほか、7人の周囲には各部署を統括する上司もいる状況で、会議室は一抹の緊張感に包まれる。そんな緊張感を和らげてくれたのも、これまたアイスクリームである。この会議の数日後に新発売された、東海道新幹線60周年を記念した「メロンアイス」が、発売に先んじて会議室に登場。文字通り“アイスブレイク”となった。

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