コーセー、爆買いを「おまけ扱い」する理由 第1四半期の営業利益は3倍増

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

第1四半期の好決算を受けて、通期の業績予想を見直し、売上高2300億円(前期比10%増)、営業利益280億円(同23.6%増)に引き上げた。コーセーは今年4月に中期3カ年の経営計画を発表し、2018年の売上高2300億円、営業利益率11%以上という目標を打ち出したばかり。これを計画初年度でいきなり達成する勢いだ。

ブランドの”若返り”に成功

銀座三越の地下1階にあるアルビオンの売場。多くの訪日観光客が訪れる。

中国では百貨店で売られる雪肌精は、高級化粧品として知られるが、日本ではドラッグストアで3~4割ほど値引いて販売されている。円安も加わって、中国で売られる価格の半分程度で購入できるため、観光客も飛びつく。2015年3月期の売上高は250億円と、全体の1割超と、コーセーを支える大黒柱の1つだ。

雪肌精は今年で30周年を迎えたブランド。主要顧客の年齢層が上がる中、2012年に若者から人気の高い女優をイメージモデルに起用し、ユーザーの”若返り”に成功した。SNSの「口コミ」効果もあり、「安心・高品質」に敏感な中国人の若年層の支持を集め、観光客の多い都内や、大阪・心斎橋のドラッグストアでは、目立つ場所に大量陳列されている。

化粧品の品薄状態を解消するため、今年1月には群馬工場に新たな生産棟の建設を決定。稼働は2017年を予定しており、生産能力は3000万個。海外事業拡大に向けた、国内外の生産拠点における「マザー工場」と位置づけている。

観光局の統計では2015年上期(1月~6月)の訪日外国人は前年同期比46%増の916万人と著しい伸びを見せており、通年でも過去最高を記録する勢い。だが、コーセーは「訪日観光客需要の恩恵はあくまで"おまけ"」(中田仁典IR室長)と意外なほど冷静だ。

次ページ海外展開に課題
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事