日本「五輪で覇者」のスケボー、街から排除の明暗 「危ない」と禁止せず、まちづくりに生かすには

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中でも埼玉県秩父市にある「秩父スケートパーク」はオープンからわずか1年ほどにもかかわらず、国際大会で活躍する選手が全国から集まり、国際大会出場権をかけたコンテスト会場にも選ばれるなど、多くの注目が集まる施設となっている。

そもそもこの場所は地元の老舗旅館の所有施設で、大学や高校の合宿所として、バスケやバレーなど体育館で行うスポーツに活用されてきた。しかし利用者の減少に加えコロナ禍が重なったことで取り壊しも取り沙汰されるように。

そこで再利用方法として挙がったのがスケートパークだった。秩父市青年会議所や秩父法人会の協力もあり市内のさまざまな企業や団体が出資、大規模な改修工事を経て昨年春に完成した。

施設の目玉は高さ13フィート(約4m)のバーチカルと呼ばれるハーフパイプ状の巨大構造物。湾曲面が立ったキツめの角度は高難度で、まさに世界基準。

スケートボードで宙を跳んでいる長谷川瑞穂選手
世界基準のバーチカルで跳んでいるのは「秩父スケートパーク」をホームにする長谷川瑞穂選手。世界最高峰の国際大会、X Gamesでも銀メダルに輝くなど将来を嘱望される選手の1人だ(写真:筆者撮影)

ストリートエリアもバーチカルの隣にある壁のセクション(障害物)から発射すれば、山を上から下まで一筆書きで下りるようにハイスピードで回ることができる。

選手目線でつねに構成を進化させているところも大きい。そうしたエネルギーやパッションが詰まっているのを、撮影を通して感じることができた。民間発の施設ではあるが、秩父市の方も連携を検討したいと語るほど影響は広まっている。

ハーフパイプの山のところで跳ぶ猪又湊哉選手
同じく世界最高峰の国際大会、X Gamesで銀メダルに輝いた猪又湊哉選手。奥の壁には秩父神社のほか、パーク制作に出資した企業のバナーが貼られている(写真:筆者撮影)

今後大切になるのは「シェアリング」

では、ボルドーの事例と秩父の事例の違いはどこにあるのだろう。それは「公共の場所」であるか「専用の場所」であるかだ。もちろんどちらがいいというわけではない。

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