日本「五輪で覇者」のスケボー、街から排除の明暗 「危ない」と禁止せず、まちづくりに生かすには

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2016年8月にスケートボードが2020東京オリンピック新種目に発表されてから、全国的にスケートパークが増えている
公共のスケートパークは2021年の東京オリンピックを機に急増し、その後も着実に増えている

現代日本は寛容性が失われている?

だが国内でのスケートボードへの反応は世界のそれとは異なり、冷ややかな目を向けられることがある。読者の中にも「うるさい、危険、街を壊す」といった文脈で、「迷惑スケボー」を取り上げる記事を目にしたことがあるのではないだろうか。

実際に国内、とくに都市部はどこも禁止。SNSに上げようものなら炎上することもしばしば。中には許可を得て市街地でイベントを開催しているにもかかわらず、批判の声が上がることもある。

縁石に貼られた「スケートボード禁止」の張り紙。「防犯カメラ作動中」という記載もある
現在都市部の至るところで見られるスケートボード禁止の警告。張り紙の上に見える突起物は、スケートストッパーというスケートボードをさせないよう「排除」するために所有者が取り付けたもの(写真:筆者撮影)

こうした動きには、公園におけるサッカーやキャッチボールの禁止など、子供の騒音・遊びへの不寛容と通ずる部分があるのではないかと思う。

時代の進化に伴い趣味やアクティビティが多様化した今、ある人からすれば大好きなものでも、ある人からすれば縁遠く特異なものに映ることも多い。そこに保守的な国民性や高齢化社会が合わされば「偏見」は生まれやすく、得体の知れないモノは「排除」の対象になりやすいだろう。

社会的認知から日が浅いスケートボードがよく思われないのは必然だったのかもしれない。いずれにせよ、利害関係が複雑に絡み合い、日本社会が全体として寛容性を失っているのでは、と感じるのは筆者だけだろうか。

一方で、海外には排除されていたスケートボードを、街と共存できるよう仕組みをつくり、さらにはまちづくりにおける魅力的なコンテンツとして活用している事例もある。詳しく見ていこう。

大切なのは「ポジティブなコミュニケーション」

フランス・ボルドーには、「SKATURBANISM(スケート+アーバニズム)」という試みがある。フェンスで囲われたスケートパークを増やすのではなく、街との共存を目指すというものだ。

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